お光狂乱(常磐津) - 純邦楽詞章集

題名

お光狂乱(おみつきょうらん)

本名題

初恋千草の濡事(はつこいちぐさのぬれごと)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第4編 常磐津集(明治42年)

(資料目次に括弧書きで「お光物狂」とある)

(瀬川如皐述)

『篠を束ねて突くやな雨に、濡夕立の空晴て
『ヲヽイ/\長吉さん、一緒に行から待てお呉なよ
『川辺うきたつ涼み船、名代名うての楊弓に、箭取娘の仇者は〔合〕お客の的もそんじよそれ、船を〔合〕舫ひて船公は〔合〕芸者の口を〔合〕約束の
『あきられて散るや木の葉の私の身にも仇な嵐が吹わいな
『畜生め、心意気をやりやアがる、其通りだらう
『ヲヤお気の毒
『あじに搦んで駒止の、石原近く浮れ来る
『矢的屋のお竹さん、両国へ店を出しながら、此河岸通へ廻り道かへ
『夫でも先刻の夕立で夜店も張て居られぬ故、中の郷の姉さんの所へ、用達に行た帰りがけ
『其中の郷が怪しいな/\
『イエ私よりお前こそ、何と思つて今頃に、此川端を唯一人で
『ハテお前も知つて居る山家屋の、別荘迄旦那を送り、船は小梅の締切へ、頼んで置て両国迄の行がけだ、マア何にしてもいゝ所で逢た
『話して行なと夕潮の、彼方の川辺に声々に
『気違よ/\
『囃し立られ道柴に、露の涙のかこち草、男故にや狂ふらん〔合〕
『結びてし甲斐も縁の糸萩と、散す野分のうたてやつらや、行方何処と白露の、お光が心乱れ髪、さら/\更にわくかたも、泣てひぐらし夫かうろげは、野暮とやらぢやと笑ふは花の、八重に色付く一重に開く、こちの心は汲もせで、余所にかはした妹脊草、盛りも見せで散るならば、共に連てはくれもせで、エヽ憎い程尚川の面、水に中よき浮寐鳥、二人は夫と立寄て
『ソリヤ此子が野咲のお光さんかへ
『そうよ久松殿の許嫁
『何ぢや久松さんぢやと胸づくし
『アヽコレサどうする/\
『ヱヽ聞へぬわいナア久松さん
『はでな噂を聞てさへ、癪といふものつい覚へ、在所生れの私でも、許嫁すりや女房ぢやもの、悋気の仕様は知ながら、言で月日をくよ/\と、松に時雨のお染さん、連て倶々駆落と、聞て身も世もあら憎や、我夫かへせうき人を、其処か爰かと追風に、姿しどなく伏転ぶ
『これは飛だ掛り合だはへ
『可愛想にどうぞして、気の静まるお守は御座んせぬかへ
『さうよナア、守といつては何もない、水天宮様と此間先達から大山の守太刀、是で悪魔をさつぱりと
『払ひ清め奉る、お御嶽石尊大権現、抱て念願上首尾と、君が袖褄彦山讃岐にどうぞ逢夜を松山も、先ぢや白峰白耆に御苦労、大山葛城夜山にしつぽり中宿へ、山上大峰釈迦が嶽
『こけの行者の御祈念に、慎み給ふと加持しける
『お光はすつくと
『アレ/\/\それ/\/\
『恋しき人を都鳥、ありやなしや現なく、とめるを払ひ振切て、あてどと波の川岸を、狂ひ慕ふて走り行く
『コレ/\姉さん待ねへよ/\
『夫ぢやといふてアノ様に気が違ふて居る物を
『夫だからあぶねへわナ、ヲイ姉さん/\
『のび上る引寄て
『お前も余程浮気者だね、女子さへ見りや誰彼の、ほんに嫌ひも夏木立、アノ柳湯へ行度に、気休め口を真に受て、夫と思ふて染浴衣、まゝ鳴海の比翼紋、末は互ひにどうして斯してと、辛気しかくも女気の、明て言れぬ胸の内
『察して呉たがよいわいな
『へゝなぞと体よく其方から、船の舳と突出すて、乗かへ船か送り船
『ヲヤよしてもお呉れと果しなき
『河辺に漕寄る筏より息吹返す善六が
『アヽ苦しい/\うぬはお染久松逃さぬぞと、藪から棒
『ヤわりやア悪玉の善六だナ
『そういふおのれは若竹の長吉か
『いゝ所へうしやアがつたな
『二人の奴等は何処へ迯した、お染ヤイ
『什麼な事は知ぬわいな
『と言間に落たる手紙を見つけ
『ヲヤ面白さうな此文は
『ヲツト大切の其の手紙
『サア取て見やれ
『サア取て見やれ/\と差出せば
『どつこいさの文
『取んとすれど腰が立ぬ
『蛙のやうにひよい/\とお飛
『ひよい/\と飛ぞ、ひよい/\/\/\
『蛙一ひよこ三ひよこ/\
『油屋お染がじよな/\じよ蚰蜒
『番頭さんは這々此奴は妙見柳島
『久しい松の白蛇で参りやせう
『へいこで
『ちよん
『へいこで
『ちよん
『へいこで/\
『ちよ/\んがちよん、ちよん/\/\
『追かけ廻る其内に、以前の手紙の封を切り
『シテ其名宛は
『善六様へ、横島弥仲太
『宝の行端を詮議の手掛り、コリヤいゝ物が手に入たはへ
『寮に御座んす旦那の所へ
『持て行れてたまるものか
『気をもむ折柄大川へ、家台囃しの大茶船、囃子につれて善六を、小梅の寮へぞ
『よいやサ
『ヲイタヽ連て行く

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データ入力日:2016/05/17

常磐津 お光狂乱 歌詞