題名

三保の松(みほのまつ)

本名題

三保松富士晨明(みほのまつふじのあけぼの)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第4編 常磐津集(明治42年)

(資料の題名『三保松富士晨明』)

(河竹黙阿弥述)

『ほの/゛\と、明行く空の雲晴て、千本の松に風もなく、波も静けき君が代の、恵を仰ぐ朝日影
『東を照す宮の名も、高き山路の久能山遠く望めば玉櫛笥、箱根が嶽の二子山、近き眺めは青嵐、吹上の浜薩埵越
『岸打つ波の清見潟、清水の湊朝込に、船の往来の真帆片帆風のまに/\風早の、御穂の社の三保神楽
『音に聞へし羽衣の、松は常磐に色変ず幾年古し物語
『有渡の浜辺へ雲井より、天津乙女が天降り、松に掛たる羽衣を、漁り人に拾はれて、帰るよすがも荒磯の、荒れ笘屋に果敢なくも、結びし夢の別路に、吾妻遊びと夕汐に差手引手の駿河舞〔合方〕
『霓裳羽衣の一曲に、袖を返して帰る波
『其乙女には劣るとも、伊達を駿河の弥勒町
『通ひ廓の遊女に、旅寐の憂を忘れ草、朱の煙管の長かれと、かはす袖師のうらなくも
『語らふ間さへ短夜に、別れともなく興津川
『又の御見と約束の、日取数ふる後朝に
『鐘に恨みぞ有明の、月は残れる吐月峰
『あとへ心は残れども、狐が崎の名もあれば、是も手管と菴崎や
『手越の里の少将が、昔を忍ぶ厚原の、曽我の祭の賑しく、賎機山の賎女が、浮島が原浮立ちて
『田子のヱゝ田子の浦辺へ打来る波へ、姿うつして見る水鏡、雪の化粧の其美しさ、誰に靡くか夕煙、しよんがいなわけもなや
『実に時しらぬ山といふ、不二は四時に変りなく、三保の松原千代かけて、枝葉栄ふる常磐津の、賑はふ家ぞ目出度けれ

分類番号

00-1331200-m2h5n5m1-0001

小道具(宣伝枠)


データ入力日:2016/05/17

常磐津 三保の松 歌詞