三社祭(さんじゃまつり)
弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり)
善玉悪玉(ぜんだまあくだま)
(資料の題名『弥生の花浅草祭』)
(瀬川如皐述)
『弥生半の花の雲〔合〕鐘は上野か浅草の、利生は深き宮戸川、誓の網の古や、三社祭の氏子中
『洩れぬ誓や網の目に、今日の獲物も信心の〔合〕御蔭御礼に朝参り、浅草寺の観世音、網の光は夕あしや〔合〕昼網夜網に凪もよく、乗込む〔合〕河岸の相場にしけは〔合〕生貝生鯛生鰯、なまぐさはんだばさらんだ、わびた世界ぢやないかいな〔合〕そなた思へば七里が灘をのふ、命や捨貝きた物なしかへもどろふよ、捨貝来た物命や〔合〕捨貝来た物なしかへもどろふよ、サアサ何としよかどしよかいな
『撞いて呉りやるな八幡鐘よ、可愛いお人の目をさます、お人の人の可愛/\お人の目をさます、サアサ何としよかどしよかいな
『帰りましよ待たしやんせ、憎や鴉が鳴くわいな
『斯る折から虚空より、風なまぐさく身に入むる、呆れて暫し両人は、大空きつと見あぐれば
『善か悪かの二つの玉
『あらはれ出たは
『こいつは稀有だな
『あゝら〔合〕不思議やな〔合〕ひとつ星なら〔合〕長者にも、並んで出たる二ない星、あらはれ出たる二つ玉、思ひがけなく落散る風の、ぞつと身に入み狼狽伏し、悶絶するこそ〔合〕
『悪にとつては〔合〕ことも愚かや〔合〕悪七別当〔合〕悪禅師〔合〕保元平治に悪源太、梶原源太は梅が枝を、蛭の地獄へ落した験も有とかや〔合〕
『是は昔の物語
『それがいやさに気の毒さに、をいらが宗旨は有難い、弘法大師のいろはにほへと〔合〕変る心はからくり的、北山時雨ぢやないけれど〔合〕
『ふられて帰る晩もあり、夫でお宿の首尾もよく〔合〕兎角浮世は儘にはならぬ〔合〕善に強きはコレ善の綱、牛に引れて善悪は、浮れ拍子のひと踊
〔二上り〕『早い手玉や品玉の〔合〕品よく結ぶ玉襷、かけて思の玉櫛笥〔合〕開てくやしき玉手箱〔合〕
『かよふ玉鉾玉松風の、もとはさゝんさでうたへや/\〔合〕浮れ鴉の烏羽玉や、うややれ/\/\、そうだぞ/\声々に
『しどもなや
『うたふも舞も法の奇特に善玉は、消えて跡なく失せにけり
(目次の題名『弥生の花浅草祭(悪玉)』本文の題名『〔善玉/悪玉〕弥生の花浅草祭(三社祭)』)
国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」
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