題名

与作(よさく)

本名題

乗掛情夏木立(のりかけなさけのなつこだち)

詞章

『徳川文芸類聚』第10 俗曲下 『荻江節正本』

(目次の題名『乗掛情夏木立(与作)』)

「旅人をとゞむるも関身を忍ぶ。人めの関や恋のせき。関のこまんもその昔。〔ハル〕いろはといひし舞扇指手引手にまねくおじやれのうきつとめ。
〔愛蔵出〕「跡をしたひて。都より〔ツナグ〕はる/゛\きぬふる郷の〔二ノギン〕松は見しりし〔アタル〕ふぢなみやびらりぼうしに染浴衣〔ハシル〕関路はあとにあり明の〔合〕〔ヒヤウシ〕つきげの〔合〕駒をみちしるべ〔合〕〔中ギン〕しやんと乗たる横た村。〔ヲクリ〕〔アミトガカリ〕おやざとさして行道の。
〔羽左衛門出〕「おなじおもひはあとやさき。道に後れてみち芝の〔合〕させもが露のそめたづな〔合〕〔二ノ中ギン〕かたなにかはる竹のむち〔合〕ふしぎのゑんにつながれし〔小ヲクリ〕恋の。おも荷を〔文七ガカリ〕打のせて〔合〕〔ニノギン〕与作々々と招かれて〔合〕〔ヒヤウシ〕とまるなら〔合〕泊らんせ京へ通しかよいのを乗た〔合〕〔木ツキユリ〕あやかりものと夕時雨。〔合〕〔二ノギン〕千両取とも馬追いやよ寒の師走も日の〔三ノギン〕六月〔合〕〔二ノギン〕駒の手綱で日をくらすヲヽしよんがへ。〔フシヲトシ〕むかしがたりとなりふりも。
「さつてもこちの品者め
〔義太夫ガカリ〕〔吉次〕「抱きおろせば。〔フシ〕褄からげ。道はか行ね女旅。
〔二人〕「坂はてる/\
〔吉次〕「すゞかはくもる。鈴鹿も我もくもる身を
〔スカシ〕「はらすちかひは観世音山より〔合〕山に行道はゑいさつさ/\
〔二上り〕〔吉沢〕「箱根八里は馬でも越がこすにこされぬ大井川ナアヨいせは津でもつ津は伊勢で持尾張名ごやはしんしろで持ナアヨ
〔三下り〕「登り下りに手を引合て〔合〕〔ヒヤウシ〕あの人のこれの/\しやんこ/\鈴の音。はなむまそろふてのんほのんいよ/\うかれて/\三度笠。〔合〕〔フシ〕旅のうさをもをすれ草
〔ツヾミ歌〕〔吉次〕「名はだてびとの与作とて。人にしられし恋おとこ。
〔愛蔵せりふ〕「なんぼおまへがそふいはんしても男の心と
〔歌〕「秋のそら〔合〕うそをまことにいふておきおまへ。ゆへならどうなりといのちはおしまぬ〔モツスカス〕こゝろから。〔アタルフシ〕このころたへて文もこぬ。〔合〕またうるさゝのあだ心〔二ノギン〕わしがおもふ露ほども。とゞかぬおまへのつれなさと。ぴんとすねるもどこやらか。たがいに思ふ恋中も。〔フシ〕だてにはすはにふりもよし
〔ヲドリ〕「こちのおもはくちかの御げんとかいてきた。きたのんし/\〔合〕あふ夜うれしきその人なれどあだし此身はまゝにはならぬさりとは〔合〕恋のうは風ふねでおせ/\よふかよかのんし/\
〔ナヲス〕「唄ふ小歌もおもしろや
「つゐ聞すてゝゆく道も市むら〔合〕里むら〔ヒヤウシ〕早過て日かげも西にかたぶけば〔合〕〔二ノ中ギン〕吉原すゞめさながらに。とゞむるそでを〔合〕ふりきつて〔ヒロヒ〕いそぐあしさへいさごみち〔合〕〔三重力ゝリ〕すぐにはゆかぬ駒のあしよこた。川に
〔ウタトメ〕「しばしとてこそやすらひぬ。

分類番号

00-2310000-y5s1k300-0001
データ入力日:2016/09/14

長唄 与作 歌詞