題名

二人椀久(ににんわんきゅう)

本名題

其面影二人椀久(そのおもかげににんわんきゅう)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年)

(資料の題名『其面影二人椀久』目次題名『二人椀久』)

『たどり行く、今は心も乱れ候〔合〕
『末の松山思の種よ、あのや椀久はこれさ/\打こんだ、兎角恋路の濡れ衣
〔二上り〕『ほさぬ涙のしつぽりと〔合〕
『身に染み/゛\と可愛さの、それが嵩じた物狂、とても濡れたる闇なりやこそ〔合〕
『親の異見もわざくれと、兎角耳には入相の〔合〕
『鐘に合図の廓へゆこやれ/\、さつさ行こやれ昨日は今日の昔なり〔合〕
『ぼん様/\ちとたしなまんせ、墨の衣に身はそみもせで〔合〕
『恋に焦るゝ身は浮船の〔合〕
『よるべ定めぬ世のうたかたや、ゆかりぼうしの其のひと節に〔合〕
『知恵も容量も皆淡雪と〔合〕
『消ゆるばかりの物思ひ、ひとり焦るゝ独り言、恋しき人に逢はせてみや〔合〕
『兎角心の遣瀬なき、身の果何と浅ましやと、暫しまどろむ手枕は、此頃みするうつゝなり〔合〕
『行く水に、うつれば変る飛鳥川〔合〕
『流れの廓に昨日まで
〔セリフ〕『ハテ
『勿体つけたへ、誓文ほんに全盛も、我は廓を放し鳥〔合〕
『籠は恨めし〔合〕
『心くど/゛\あくせくと、恋しき人をまつ山は、やれ末かけてかいどりしやんと、しやん/\ともしほらしく、君が定紋伊達羽織、男なりけり又女子なり〔合〕
『片袖主と眺めやる
『思ひざしなら武蔵野でなりと、何んぢやおりべの薄盃を、よいさしやうがへ、武蔵野でなりと、何んぢやおりべの薄盃、よいさしやうがへ、恋に弱身を見せまじと、ひんと強ねては背むけて〔合〕
『くねるなはなと出て見れば〔合〕
『女心の強からで、跡より恋のせぬ来れば、小袖にひたと抱きつき、申し椀久さん
〔セリフ あり〕『さつてもてつきりお一人さま
〔鼓歌〕『ふられず帰る仕合せの、松にはあらぬ太夫が袖、月の漏るより闇がよい〔合〕
『いゝやいや/\こちや闇よりも月がよい、お前もさうからと寄添へば、月がよいとの言ひ草に、粹な心で腹が立つわいな
〔セリフ〕『もうこれからが口舌のだん
『仔細らしげに座をうつて、袖尺着尺衣紋坂、初冠の投頭巾、語るも昔男山
『筒井筒井筒にかけしまろがたけ、老いにけらしないも見ざる〔合〕
『間にと咏みて贈りける程に、其の時女もくらべごし、振分髪もかたすぎぬ、君ならずして誰があぐべきと、互に詠みし故なれば、筒井筒の女とも聞えしあ有常が娘の古き名なりしぞ
〔セリフ〕『あゝ古い/\女郎買も塩が辛うなつた
『お茶の口切たぎらす目元にとりつけば
〔セリフ〕『あゝなんぞいな
『手持無沙汰に拍子揃へて業くれ、按摩けんひき/\、さりとはひき/\いねろ〔合〕
『自体某は東の生れ、お江戸町中見物さまの、馴染情の御贔負つよく、按摩けんぴき朝の六つから日の暮るゝまで
〔セリフ〕『さりとは/\忝ない
『按摩冥利に叶ふて嬉し〔合〕
『按摩けんぴき/\
『さとのみうら女郎様ちゑごちゑ、袖をそつと引かばおゝ靡きやれ、かんまへてよい/\女郎の顔をしやるな、ちゑごちゑ、袖をそとひかばおゝ靡きやれ、かんまへてよい/\女郎の顔をしやるな、ちゑごちゑ、二人つれだち語るもの
『廓々は我家なれば、遣手禿を一所につれだち急ぐべし〔合〕
『遊び嬉しき馴染へ通ふ〔合〕
『恋に焦れてちや/\とちやと/\行こやれ〔合〕
『可愛がつたりがられて見たり、無理な口舌も遊びの品よく、彼方へ言ひ抜け此方へ言ひ抜け、裾にもつれてじやらくら/\、じやらくら/\悪洒落の、花も実もある仕こなしは、一重二重や三重の帯、蒲団の中ぞ候かしく

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#狂乱物

分類番号

00-2310000-n2n2n0w1-0001

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データ入力日:2016/05/11

長唄 二人椀久 歌詞