俄獅子(にわかじし)
(資料の題名読み「にわかしし」)
(杵屋六三郎述)
〔二上り鼓歌〕『花と見つ五町驚かぬ人もなし、なれも迷ふやさま/゛\に〔合〕
『四季折々の戯れは、紋日物日のかけ言葉〔合〕
『蝶や胡蝶の禿俄の浮れ獅子〔合〕
『見かへれば花の屋台に見へつ隠れつ色々の、姿やさしき仲の町
『心尽しのナ其の玉章も、いつか渡さん袖の内、心ひとつに思ひ草、よしや世の中〔合〕
『狂ひ乱るゝ女獅子男獅子の彼方へひらり此方へひらりひら/\/\〔合〕
『しのぶの峰か襲夜具、枕の岩間瀧つ瀬の、酒に乱れて足もたまらず〔合〕
『他處の見る目も白波や
〔キヤリ〕『ヤア秋の最中の月は竹むら更て逢ふのが間夫の客ヨイ/\
〔クドキ〕『辻占みごと繰返し、何故この様に忘られぬ、恥かしいほど愚痴になる
『というちやア無理酒に、なんでも此方の待人恋のナ恋の山屋が豆腐に鎹、しまりの無いのでぬらくらふはつく嘘ばかりヨイ/\ヨイヤナ
〔クドキ〕『宵から待たせてまた行うとはエヽあんまりなと膝たて直し
『しめろヤレたんだうてやうて、打つはたいこが取持ち顔か、強ねてうつむく水道尻に〔合〕
『お神楽蕎麦ならすこしのびたと囃されて、ちん/\かもの床の内、たん/\狸のそら寐入、つねつた跡のゆかりの色に、うつて変つた中直り、あれはさこれはさよい声かけヤ
〔引〕『よいやなしどもなや
〔三下り〕『人めしのぶはうら茶屋に、為になるのを振捨て、深く沈みし恋の淵、心柄なる身の憂さは、いつそ辛いぢやないかいな〔合〕
『逢はぬ昔がなつかしや
『獅子にそひてや戯れ遊ぶ、浮き立つ色のむらがりて、夕日花咲く廓景色目前と貴賎うつゝなり
『暫く待たせ給へやと宵の約束今行くほどに夜も更けし〔合〕
『舞子図羅旋の舞楽もかくや勇む末社の花に戯れ酒にふし、大金ちらす君達の、うてや大門全盛の、高金の奇徳あらはれて、靡かぬ草木もなきときなれや、千秋万歳万々歳と〔合〕
『豊かに祝す獅子頭
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