題名

喜撰(きせん)

変化物としての題

六歌仙容彩(ろっかせんすがたのいろどり,うたあわせすがたのいろどり,ろっかせんすがたのさいしき,ろっかせんすがたのいろざし)

別題

喜撰法師(きせんほうし)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第3編 清元集(明治42年)

『我が庵は、芝居の巽常盤町、しかも浮世を離れ里
『世事で丸めて浮気でこねて、小町桜の詠に倦かぬ、彼奴にうつかり眉毛をよまれ
『ほうし/\は啄木鳥の、素見ぞめきで帰らりよか、わしは瓢箪浮く身ぢやけれど
『主は鯰の取り所、ぬらりくらりと今日も亦、浮れ/\て来りける
『もしやと簾を他処ながら、喜撰の花香茶の給仕
『波立つ胸を押撫でゝ、しまりなけれど鉢巻を、幾度しめて水馴棹
『ぬれて見たさに手を取りて、小野の夕立縁の時雨
『化粧の窓の手をくんで、どう見直して胴慄
『今日の御見の初昔、悪性と聞て此の胸が、朧の月や松の蔭
『私やお前の政所、いつか果報も一森と〔合〕ほめられたさの身の願
『惚れすぎる程愚痴な気に、心の底の知れ兼て
『じれつたいでは
『ないかいな
『何故惚れさしたコレ姉へ
『自惚すぎた悪洒落な、わつちもそんなら勢ひ肌、五十五貫でやらうなら、廻りなんしへがら/\鉄棒に、路次やしまりやす
『長屋の姉へが鉄砲絞の半襟か、花見の煙管ぢやあるめへし、素敵に首にからんだは〔合〕
『廊下鳶が油揚さらひ〔合〕お隣の華魁へ、知らねへ顔もすさまじい、何だか高い観音様の
『鳩は五重や三重の、塔の九輪へとまりやす
『粹と言はれて浮いた同士
『ヤレ色の世界に出家を遂げる、ヤレ/\/\、こまかにちよぼくれ
『愚僧が住家は京の巽の、世を宇治山とは人は言ふなり〔合〕
『ちや/\くさゑんの、咄す濃茶の縁の橋姫〔合〕
『夕べの口舌の袖の移り香、花橘の小島が崎より、一散走りに走りて戻れば〔合〕
『内の嬶が悋気の角文字、牛も涎を〔合〕
『流るる川瀬の〔合〕
『内へ戻つて我から焦るゝ、蛍を集めて手管の学問
『唐も日本も廓の恋路が、山吹流しの水に照添ふ朝日のお山に、誰でも彼でも二世の契は平等院とや、去とは是はうるさいこんだにホウ
『奇妙頂礼どら如来
『衆生手だての歌念仏
『釈迦牟尼仏の床急ぎ、抱て涅槃の長枕、睦言がはりのお経文
『なまいだ/\なんまいだ、何故にとゞかぬ我が思ひ、ほんにサ、忍ぶ恋には如来まで来て、見やしやんせ阿弥陀笠、黄金の肌でありがたい
『なまいだ/\なんまいだ、何故に届かぬ我が思ひ、ほんにサ、こゝに極る楽しさよ
『浪花江の片葉の葦の結ぼれかゝり、
『ヨイヤサ
『コレハイナ
『解てほぐれて逢ふことも、まつに甲斐あるヤンレ夏の雨
『ヤアトコセ
『ヨイヤナ
『アリヤ/\
『これはいナ
『このなんでもせへ
『住吉の岸辺の茶屋に腰うちかけて
『ヨイヤナ
『コレハイサ
『松で釣ろやれ蛤を、逢ふて嬉しきヤンレ夏の風
『ヤアトコセ
『ヨイヤナ
『アリヤ/\
『これはいナ
『このなんでもせへ
『姉さんおん所かへ、島田金谷は川の合、旅籠は鐚でお定り
『お泊りならば泊らんせ、お風呂もどん/\わいてある、障子も此の頃はりかへて、畳も此の頃替へてある、お寝間のお伽をまけにして
『草鞋の紐のあだ解の、結んだ縁の一夜妻
『あんまり憎うもあるまいか
『テモさうだろ/\さうであろ
『住吉様の岸の姫松目出度さよ、いさめの御祈祷、清めのご祈祷、天下泰平国土安穏目出度さよ
『来世は生を黒牡丹、おのが庵へ帰り行、我が里さして急ぎ行く

国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」

(目次の題名『〔六歌仙のうち〕喜撰ほうし』本文の題名『〔六歌仙の内〕喜撰法師』)

国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」

タグ

#掛合(清元 長唄) #変化物 #チョボクレ

分類番号

00-1331211-k2s4n000-0001
データ入力日:2016/05/17

清元 喜撰 歌詞