夕立(ゆうだち)
貸浴衣汗雷(かしゆかたあせになるかみ)
おくま(おくま)
(資料の題名『貸浴衣汗雷』)
(河竹新七述)
『夕立の雨も一降馬の背を、分て涼しき川岸に〔合〕柳の枝の寄添て、いつしか色に雷神の、音さへ遠き筑波東風〔合〕
『残る暑さを川水へ〔合〕流す上手の帰り船〔合〕
『草の葉に宿りし月も小夜風に〔合〕憎やこぼれてはら/\と、露か雫か雫か露か、濡て色増す野辺の色〔合〕
『意気なお方につり合ぬ、野暮なやの字の屋敷者、十の年からお小姓を、勤め通してお側役
『廿越せど色恋は、掟厳しく白玉の、露にも濡し事はなく
『あとは答もなが髱の、油薫りて艶かし〔合〕
『好いたお方に手を取れ、飛立程の嬉さは〔合〕〔虫厨〕より胸に浪打て〔合〕紅麻映る顔の色〔合〕
『また一頻り降雨に、中を結ぶの雷や〔合〕恐さに抱きあふ川の、深き契ぞかはしける
(目次の題名『貸浴衣汗雷(おくま)』本文の題名『〔やの字結もうちとけて〕貸浴衣汗雷(おくま)』)
国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」
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