手習子(てならいこ)
杜若七重の染衣,姿花秋七種(かきつばたななえのそめぎぬ,すがたのはなあきのななくさ)
(資料の題名『手ならひ子』目次題名『手習ひ子』)
『今を盛りの花の山、来ても三芳野花の蔭、あかぬ眺の可愛らし、遅桜まだ莟なり、花娘寺子戻りの道草に、てんと見事な色桜、ひな草結ぶ島田髷、はしたないやら恋しいやら
『肩縫ひ上のしどけなく紙撚くひ切る縁むすび、ほどけかゝりし繻子の帯、振の袂のこぼれ梅、花の笑顔のいとしらし、ふたつ文字から書そめて、悋気恥かし角文字の、すぐな心のひと筋に、お師匠さんのおつしやつたを、ほんに忘れはせぬけれど
『ふつつり悋気せまいぞと、矯んで見ても情けなや
『まだ娘気の跡や先、あづまへもなきあどなさは、粹なとりなり目に立つ娘
『娘々とたくさんにさうに、言ふてお呉れな手習ひ覚え琴や三甲線踊の稽古
『言はずかたらぬ我が心、乱れし髪の乱るるもつれないは唯移り気な、どうでも男は悪性者
『さくら/\諷はれていふて袂のわけ二つ、勤めさへ唯うか/\と、どうでも女子は悪性者、東育ちは蓮葉なものぢやへ
『恋のいろはにほの字を書て、それで浮名のちりぬるをわか、よたれそつねならむうゐ心おく山けふこえて、逢ふた夢みし嬉しさに、飲めどもさゝに酔ひもせず、京ぞ恋路の清書なり
『つまの為とて天神様へ願かけて、梅を断ちます明白サア、われ一代立ちます明白、梅を/\立ちます明白、サアわれ一代実ほんに、さうぢやいな品もよや
『請鳥の囀り、梢々の枝にうつりて風に翼のひら/\/\、梅と椿の花笠着せて/\、眺めつきせぬ春景色
#変化物
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