題名

流星(りゅうせい)

変化物としての題

日月星昼夜織分(じつげつせいちゅうやのおりわけ)

別題

夜這星(よばいぼし)

詞章

国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」

(目次の題名『日月星昼夜織分(夜這星)』本文の題名『〔三光之内/七夕の星〕日月星昼夜織分(夜這星)』)

(作者 河竹新七)

〔竹本〕「夫れ銀漢と詩につらぬる五言七言のかたい言葉をやはらぐる〔合〕
「三十一文字の大和歌天の河原にかはらじと深くもねがふ〔合〕女夫星
〔竹本〕「そのあふせさへ一歳に今宵ひと夜のちぎりゆゑ
「まだ明星の影うすきくれぬ内より織女が〔合〕待てば
〔竹本〕「またるゝ牽牛もうしのあゆみのもどかしく心はさきへゆき合の八重の雲路をたどり来る
〔●〕「それと見るよりかさゝぎの〔合〕とびたつ思ひおし鎮め
〔粂三郎〕「なつかしや我つま様おかはりとてもあらざりしか
〔権十郎〕「アヽ思へば年に只一度此七夕にあふのみにて
〔粂〕「雁のたよりもなき身の上
「なつかしきはいかばかり
〔粂〕「とりわけ去年は雨降りて
〔権〕「そもじにあふも三年ごし
〔竹本〕「しかもつゞきし霖雨に八十の河原に水増してつまこし船にさほさせど
「とわたるよすが明ちかくながなき鳥にみじか夜を
〔竹本〕「思へばうしと引綱も跡へひかるゝ後朝につれなきわかれもきのふとすぎ
〔●〕「けふは雨気も中そらに心もはれて雲の帯とけて〔合〕ぬる夜の嬉しさと寄りそふ折柄やみくもに
〔小團次〕「御注進々々々
〔竹本〕「よばはる声も高島屋飛んで気軽な夜這星
〔いろの世界へ生れしからは〔合〕色をするのが犢鼻褌〔合〕寝るに手まはしよひから裸
〔竹本〕ぞつと夜風に
「ハヽハツクサメきやつがうはさをして居るかエヽ畜生めとゆふやみを
「足もそらにてかけ来り
「たかと思へば夜這星
〔粂〕「注進とは何事なるか
〔権〕「やうすはいかに
〔小團次〕「ハツされば候/\も一つまけてさん候ヲ
「凡夜這とばけ物は夜中のものに宵のうちとろ/\やらふと思ひの外一つ長屋の雷が夫婦喧嘩の〔合〕乱さはぎ
「きけば此夏流行の端唄の師匠へ〔合〕おつこちて気は失はねどかんじんの〔合〕雲を失ひ〔合〕居候
〔竹本〕「そこで端唄を聞覚へ此天上へ帰つてもツイ口癖になるときも
〔ハウタ〕「小町思へば照る日もくもる四位の少将が涙雨
「ごろ/\ごろ
「ごろ/\〔合〕エヽごろ/\
「きく女房はあきれはてコレ
「そんなのろけたなりやうではこはがるお臍で茶をわかそう
「なるならおほきな声をして
〔竹本〕「ごろく/\/\。ぴか/\/\ごろ/\/\ぴかぴか/\イヤごろ/\/\/\ぴつしやり
〔●〕「トならねばさまをつけられぬ
〔竹本〕「いへば亭主は腹を立て
〔詞〕「それは昔の雷だ大きな声でならずともいきに端唄でなるのが当世それがいやなら出てゆきやれ
〔詞〕「なに出て行けとへ
〔詞〕「オヽサ角を見るのもいやになつた
〔ハウタ〕「わがものと〔合〕思へばかろきかさのゆき
〔竹本詞〕「我物ゆへに仕方なくがまんをすればつけあがり亭主をしりに引ずり女房サア恋の重荷の子供をつれきり/\と出て行きやれ
〔詞〕「イエ/\爰はわたしの内
「お前はむこの小ぬか雨がさ一本もない身の上
〔竹本詞〕「うぬそうぬかせば了簡がと打つてかゝるを
〔●〕「ごろ/\
〔竹本〕「ごろ/\/\/\となる音に〔合〕
「そばに寝てゐた子雷
「こよ/\/\と起きあがり
〔詞〕「コレととさん可愛そうにかゝさんを
「背負た太鼓じやあるまいし〔合〕なんでそのよにたゝくのじや〔合〕
「堪忍してとこよ/\/\
〔竹本〕「かゝるさわぎに隣りから婆ア雷が止めに来て
〔詞〕「エヽお前がたはどふしたのじや夫婦喧嘩は雷獣もくはぬに野暮をゆふ立ばどんな太鼓の八つあたり出て行けとの一声は
〔ハウタ〕「月がないたかほとゝぎすいつしかしらむ短夜にまだ寝もたらぬ手枕や
〔竹本詞〕「アレおなるさんもくよ/\と
「愚癡なやうだが〔合〕
〔竹本詞〕「コレマ泣いて居るはいな
〔竹本〕「端唄にめんじて五郎介どの了簡してとごろ/\
〔●〕〔詞力ヽリ〕「イエ/\私しやぶたれたからは了簡
「ならぬとごろ/\
〔竹本〕「ならずばうぬとごろ/\/\
「とゝさんまつてとこよ/\/\
〔竹本〕「これはしたりとごろ/\とめるはづみに雷婆アうんとばかりに倒るればこりやころりではあるまいか
「医者よはり医と
「立さわげば
〔竹本〕「入歯のきばをのみ込んで胸につかへて苦しやといふにおかしく中直り
「夫婦喧嘩のあらましはかくの通りと褌で汗をぬぐふてゐたりける
「織女は更行く小夜風に名残を惜しむかこちごと
〔●〕〔クドキ〕「今宵あふたるうれしさに〔合〕又一歳のかなしさは別れしあとの物思ひ〔合〕身はうつせみのうつゝなく五百機たてゝおりたつる筬のかよひもうはのそら〔合〕
〔カン〕「かへる雁がね来るつばめはる過ぎ夏にこの秋を
「まつ身にながき悲しさをくみわけてたべ我夫と
〔竹本〕「かこちなみだにくれければ
「中を隔てゝ夜這星これはどふした文句やら
〔竹本〕「くぜつはさゝらさらりつと箒星にてはき出しサア/\早くお床入り
「これから我等も色まはり
「西へ飛ふか〔合〕東へとぼかどちへゆかふぞ思案ばしエヽ
〔竹木〕「うかれうかるゝ足の下つき出す鐘は浅草か
「くもの上野の明六つになむさん夜明に此なりでは〔合〕
〔竹本〕〔ノリ地〕「日の目もあればといひすてゝ虚空はるかに
〔小〕「ハヤおさらば
「牽牛織女もきぬ/゛\に
〔竹本〕「あきさり衣さりかぬる
「ちぎりもふかききりがくれ
〔竹本〕「すがたは
「消えてうせにける。

タグ

#掛合(義太夫 清元) #変化物

分類番号

00-1331211-r2y3a3s4-0001

音源(宣伝枠)


データ入力日:2016/06/03

清元 流星 歌詞