題名

筑摩川(ちくまがわ)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年)

(杵屋林鷲述)

『夫れ木曽山の南面に、落合ふ水の筑摩川、頃しも秋の習にて、続く霖雨もやゝ晴て、雨後の川水弥まさり、名にし大井の満水も、かくやと思ふ川の面、矢よりも早き急流は、目ざましくも亦恐ろしき
『扨も我慢の大領が、臣下の諌小賢しと、水馬のためし魁の、名馬に策をあて給ふ、様子得たりと又助が、忍ぶ蘆原押分けて、立出る影もきらめきし、刃の光鋭くも、ざんぶと川へ入る間もなく
『君の勇気に劣らじと、警固の臣が馬面をそろへ、乗入る大河遠浅を、上手の方へ半町あまり、登るとすれば水勢の、力に押れ一同に、戻りては又大石の助によりて踏とゞまり
『渡る人馬も戦場の、修羅の巷に異ならず、危うかりける、勇ましかりける次第なり

分類番号

00-2310000-t2k3m1g1-0001
データ入力日:2016/05/16

長唄 筑摩川 歌詞