題名

粂太郎石橋(くめたろうしゃっきょう)

詞章

『徳川文芸類聚』第10 俗曲下 『歌撰集』

〔つゞみ歌〕「あめつちのひらけていもせ国。とつじをしらすせきもいや。
〔三下り〕「いざなみよればいざなぎさ道をおしへの神の国さんせんさうもく海山も。ほこのしたゞり恋のたねまよふりんゑも恋ぞかしはまのまさごにひらり/\さつとひくなみうきすの岩に羽をやすめ。ひよくの鳥のいもせごと
「げにやうき世のわざながらことにつたなきあまをぶねわたり兼たる夢の世にすむとやいはんうたかたのしほくみ車よるべなき身は海士人の袖ともに思ひをほさん心かなよしそれとても女ぐるまの灘の潮くむうき身ぞと人にはたれかつげのくしたしくるしほをくみ分て〔上〕みれば月こそおけにあれ是にも月の入たるやうれしやこれも月の有
〔ウタヒ〕「月は一つかげは二つみつしほのよるの車に月をのせて
「うしともいはぬしほぢかなこれはなつかしきみこゝに
〔ウタヒ〕「すまのうらはの松の行平立かへりこばわれもこかげにいざ立寄てそなれまつのなつかしや
〔サイモン〕「所は難波のひがし堀聞てうはさもその昔ひとり娘におそめとて年も二八の細まゆに内のこがひの久松と忍び/\のねあぶらにおやたち夢にもしらしぼりけふ生玉へまいるのもそなたに咄すことが有るわしもよめりがはらが立つこれ人がきかふに気をしづみや思ひあふたる星のふち
〔ヲドリ〕「おれとそなたは忍び車や松風車風に香の有る梅見の車くん/\/\車井戸どちらもふかいつん/\つるべのぬれ/\そめしやるかたもなき小車のへ
「こよひ扇のナアかなめのちぎり手にくる/\と日でりがさ。笠をめそならばかゞのあふぎ笠あふぎ車やはん女が閨の花扇風にひら/\散かさくらの嵐木枯よきてふけひごろはよそに見てややみなんかづらきの神のちかひや見ごと/\へ
〔文七ブシ〕「すいたけんくわにや夜も日もわかぬ。あわざがらすの声もろ共に。わたるかりがね文七こそは。きよ川つれて出をぶね出入する気もいろにはつなぐ。一どしんだらまゝよさア〔清川フウ〕まうしふみさまいつぞはわしが。いはふいはふとおもふてゐたが〔文七フウ〕はてかしましい。そりやなんじや〔清川〕そもやけんくわはにんげんわざか〔文七〕またくど/\ときゝともない
〔清川〕「やめてくだんせふみさまと女ごころのはかなさは。つれそふおつとの身のゆくゑあんじわづらふきくばりは。ながれの身にはたぐひなき
「つよい/\ほめそやされて。さいたしやくはち大わきざしのおとこいちりうかりがね文七。いかな夜もひもかみなりしやう九郎。いつのけんくわもあいづちうちのせん右衛門。あんの二わうが平ゑもん。わらふゑがほは。ほていぢゑもん。五にんおとこと名のたつにサア
「あやとるな/\みぶやせんぼんのはなのさかりはござんせ。はなのさかりはナアさかりは花のおてひきよふて。あらしやまかざいとはできたやま。よし野はつ瀬のはなのふゞがちるは/\ちりくるの。きさらぎやよひもはなのそでそでをつらねて。おせ/\よい/\/\させんとひ。いろめくはなのおもしろや
「しばらくまたせたまゑや。ゑうがうのじせつもいまいくほどによもすぎじしゝとらでんのぶがくのみぎん。ぼたんのはなぶさにほひみち。たいきんりきんのしゝがしら。うてやはやせやぼたんぼう/\こうきのずいきあらわれて花にたはむれゑだにふしまろびてげにもうへなきしゝ王のいきほひなぴかぬくさ木もなき時なれや萬歳千秋とまひおさめ/\しゝのざにこそなをりけれ。

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#石橋物 #獅子 #物尽くし(車)

分類番号

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データ入力日:2016/09/13

長唄 粂太郎石橋 歌詞