題名

老松(おいまつ)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年)

(杵屋六三郎述)

〔本調子次第〕『実に治まれる四方の国/゛\、関の戸さゝでかよはん
『是は老木の神松の、千代に八千代にさゞれ石の、巌となりて苔のむすまで〔合〕
『松の葉色もときめきて、十かへり深き緑のうち、寐れる夢のはやさめて、色香にふけし花も過ぎ、月に嘯き身はつながるゝ糸竹の縁にひかれてうつら/\と長生の、泉をめぐる心地せり
『まづ社壇の方を見てあれば、北に峨々たる青山に、彩る雲のたなびきて、風にひらりひらめきわたる此方には〔合〕
『翠帳紅閨の粧ひ、昔を忘れず右に古寺の旧蹟あり〔合〕
『晨鐘夕梵のひゞき絶ることんなき眺めさへ、赤間硯の筆すさみ、こゝに司をしるしけり
『松といふ文字は変れど待つことのはの其の甲斐あつて積む年に〔合〕
『寿祝ふ常磐木の、調べぞつゞく高砂の、名あるほとりに住吉の、松の老木も若木をかたる、恥かしさ、喜びもことはりぞかしいつまでも
『清きいさめの神かぐら、舞楽をそなふる此の家に、声もみちたつ有り難や
〔三下り〕『松の太夫のうちかけは、蔦の模様に藤色の、愛しかあいもみんな/\男は偽りぢやもの〔合〕
『強ねて見せても其の儘よそへ、ある夜ひそかにつき合の、雲の籬のかけ言葉、エヽ憎らしい木隠れに、はれて逢う日を松の色
『豊かに遊ぶ鶴亀の、齡を授くる此の君の、行末守れと我が神託の、告を知らする松の風
『富貴自在の繁栄も、久しき宿こそ目出度けれ

分類番号

00-2310000-a5a2m1t3-0001

音源(宣伝枠)

 
データ入力日:2016/05/11

長唄 老松 歌詞