舌出し三番叟(しただしさんばそう)
再春菘種蒔(またくるはるすずなのたねまき)
志賀山三番叟,種蒔三番叟,種蒔三番(しがやまさんばそう,たねまきさんばそう,たねまきさんばん)
(目次の題名『再春菘種蒔(舌出し三番叟)』本文の題名『再春菘種蒔(舌出し三番叟又は種蒔三番)』)
「そのむかし秀鶴の名にしおふ郡のぼりの折を得て〔合〕おしへうけじの親方にまいの稽古の志賀山の〔合〕ふりもまだなるおさなぎに〔合〕わすれてのけし〔合〕三番叟〔合〕もみ出しくり出し一かなでめでたふ栄えや仲蔵を
「にせむらさきもなか/\に及ばぬ筆にうつし絵も〔合〕いけぬみぎはの石亀やほんに鵜の真似からすとび〔合〕とつぱひとへに〔合〕有難き花のお江戸の御ひゐきをかしらに重き立烏帽子
〔●〕「あらめでたや物に心得たるあどの太夫どのにそとげんぞうもふそふ
〔▲〕「丁度参つて候
〔●〕「あどの太夫殿をお見立て申て候ム
〔▲〕「なんと御らんじ候や。
〔●〕「ふく人と御見立て申て候
〔▲〕「又色の黒き尉どのをお見立申して候。
〔●〕「なんと御らんじ候ぞ
〔▲〕「徳人とお見立申て候
〔●〕「仰の如く徳人の中にても子とく人にて候十人の予供等を車座にならベ一時に名をつけて候
〔▲〕「なんと御付候ぞ
〔●〕「まつおつとりちかへおとよけさよたつ松ゆる松だんだらいなづにかいつくひつつく火打袋にぶらりとつけて候
〔▲〕「あら日出度やその和子たちの祝ひ月一段とにぎわしき事に思はれて候
〔●〕「まづあどの太夫どのにはおも/\と元の座ヘお直り候へ
〔▲〕「まづ色の黒き尉殿には一舞御舞ひ候へ
〔●〕「イヤ/\御直りなふては舞ひ候まじ
〔▲〕「イヤ/\御舞ひ候へ
〔●〕「イヤ御なをり候へ
〔▲〕「あらやうがましやさあらばすゞを参らせうこなたこそ
「天の岩戸のナ〔合〕かゞいづきとて〔合〕祝ふほん/゛\そのとしも〔合〕五つや七つ三つ見しよと縫ひの模様のいとさま/゛\に〔合〕たけに八千代のことぶきこめて
「松の齢のい/\万代もかはらぬためし鶴と亀ぴんとはねたるめでたいに〔合〕ゑびもまがりし腰のしめ宝づくしや宝船
「やら/\めでたいのへ四海波風おさまりて〔合〕ときはのへエヽ木の薬もしげるゑいさらさ鯉の瀧のぼり牡丹にから獅子から松を見事に見事にさつても見事に手をつくし什立ばえあるよいこの小そできせてきつれて〔合〕まいろかのかたぐるまにふんのせて〔合〕のせてまひろの氏神詣〔合〕きねがつゞかの〔合〕でんつくでん〔合〕笛のひしぎの〔合〕音もさえたりな〔合〕さえた目元のしほらしき〔合〕中の/\中むすめをひたつてうじやが嫁にほしいと望まれて〔合〕
「藤内次郎がとちくりげにのつて
「エイ/\/\ゑつちらおつちらわせられたのでその意にまつかせ〔合〕もふした
「さてこんれいの吉日は
「ゑんをふだんの日をゑらみ〔合〕送る荷物は〔合〕なに/\やろるりの手箱に珊瑚のくしげ珠をのべたる長持にかづもちやうどのいさぎ
「さまはナア百迄ナアエヽわしや九十九迄ナアエ
「何の性だへ
「ともにナア白髪のナアエヽはゆるまでナアエヽ
「嫁とはいへど世間見ず〔合〕かごの内外のおもはくがはづかしみ/゛\あんじられ
「初に添寝の新枕かへす詞も何とゆてどうしてよいの〔合〕ロとロ〔合〕
「互に手さへとりかねの声が取持やう/\と明行くそらを月にして
「妹背結んで女夫中むつまじ月と岩田帯やがて孫ひこやしやごをもふけ〔合〕末の楽しみ此上や
「心浮立つおどりうた
〔二上り〕「ほしか〔合〕おましよぞ一枝おりてそりやたれに〔合〕いとし女郎しゆのかざしの花にホウヤレ〔合〕恋の世の中おもしろや
「直にも帰りお目見えを
「またこそねがふ種蒔や〔合〕千秋萬歳〔合〕ばん/\ぜいの末迄もにぎはふ芝居と舞納む/\。
#三番叟物 #松羽目物
00-1331211-s2t1d1s2-0001