若菜摘(わかなつみ)
花兄弟十二月所作(はなきょうだいねんじゅうぎょうじ)
〔本調子〕『君に若菜をすゝむること、寛平延喜の御代に始り、天暦四年如月にも、女御安子のたてまつる、なゝに数そふ十二種の、色くらぶなる若菜人
『いく千代も変らぬためし妹と背の〔合〕
『睦みなづみて春日野の、若紫の恋衣、しのぶの乱れ限りなく、深き思いを筒井筒
『うつり心と始めから、うき水茎の筆目花、心根芹にたちあかし、待つに甲斐なき偽りの、いつ逢ふ人のよすがさへ〔合〕
『薺うらみて片山雉子、鳴く音にもゆる早蕨の、露に綻ぶ風情なり〔合〕
『花の粉染の色わけて〔合〕
『紅梅殿や〔合〕
『老松の〔合〕
『緑の空に誓ひして、契り情のひと夜松〔合〕
『薄雪消えて如月に、たちわたり舞ふ雲の袖〔合〕
『和光の影も曇りなき、春日松尾の二つ神、分身威明の姿を現はし、供御をなへて其の儘に、神はあがらせ玉ひけり
00-2310000-w1k1n1t3-0001
データ入力日:2016/05/16