蓬莱(ほうらい)
(杵屋六三郎述)
〔二上り〕『うらゝかな、日の色そみて木の間にも〔合〕
『葉毎のはなの綾錦、重ねし縫の伊達模様〔合〕
『着つゝなれにし山姫は、人の眺の迷ひ草、結びかねたる空解は、いつそ浮気なそよ風や〔合〕
『うらみてけむる塩竃は、胸に焚く火の消えかねる、エヽ何とせう〔合〕
『仇しあだ浪、寄せてはかへす岩枕、浮名はぱつとたつ鳥の、塒を慕う恋の山
〔本調子〕『萩のしら露起き伏し辛き、色と香の〔合〕
『茂りてふかき床のうち、今朝の別れに袖ぬらす、しよんがへ
『招く芒は徒者よ、女郎花〔合〕
『あじな気になる花の色、さめぬ桔梗の可愛らし、しよんがへ、うつゝなや
『詠めつきせぬ殿作、実に蓬莱を見あぐれば、高き調の松が枝に〔合〕
『琴弾くやうな鶴のあしどり
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