題名

蜘蛛拍子舞(くものひょうしまい)

本名題

我背子恋相槌(わがせここいのあいづち)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年)

(資料の題名『蜘蛛拍子舞』)
(資料の題名読み「くもひょうしまい」)

(桜田左交述)

〔本調子〕『夫れより代々の帝に至り、伝はる鍛冶の道広く、天国天の座しんそくが、太平地国の霊験に、治まる御世の神宝
『千早振にし昔より、恋に片輪の片思ひ、浮寐の鳥も寐覚して、氷にうつる剣刃は冴えた中ごとよい金性を、枕詞に真金吹く、きびの中山なか/\に、千束にあまる文ならで、とめて留木の移り香も、昨日の夢を袖だたみ、二人ぬる夜は帯といて、屏風にかけしさままゐる、二人がなかへ参らせ候の寐姿に、ひぞりながらも夜着きせて、宵の笑は暁の、涙の露の起き別れ
『謹上再拝/\、鞴は陰陽和合をかたどり五行五体をかための槌、文の直ぐやき武の乱れ、文武二通に二た柱
『サアちよつと姿を垣間見に、ひがきやすりはてんがいしげとし、
『扨薙刀は当麻の少将、こんわうまさえだ力王一王
『これ等は名に負ふやまと鍛冶
『利剣宝剣名作名物六百九十四振なり
『九十四ふりは九十九夜、或夜その夜の廓通ひ、色に乱れし業物と、名乗りて和泉の加賀四郎、扨又相模の新造五郎、新造五人ひきつれて、紋日物日は月参り
『月山もりふさくもがしら
『初ゆき平を眺めんと、猪牙で長船、四ツ手にのりむね
『よう/\三条宗親と
『客は女郎に寸延びて、余所で口舌をしまだの義祐
『座敷も新身の付焼刃
『文殊四郎のちゑかつて、内外の手前を兼光が、まだ居続けかさりとは長光、大ざけに青江の四郎が捻ぢ上戸
『ちよつと祐光一文字、腹立上戸仁王三郎
『相手に長門の左利き、左文字やかた/゛\よあいと石見の酒盛綱
『心やす綱
『友成が
『君万歳とぞ打たりけり
『うちおさまりし床の山、しめてねじめの一と節に
『さまに逢ふ夜は月影に〔合〕
『丸にいの字を結ひ綿に、重ね扇の比翼紋、離れぬ仲ぢやないかいな、さいなそんれもよう言ふた/\
『さまと一と夜の契りさへ、笹龍胆に抱き柏*2、誰が睦言を菊蝶の、離れぬ仲ぢやないかいな、さいなそんれもよう言ふた/\、離れぬ仲のかこちごと
『不思議や火炎烈々と、空中に翩翻し、落ると思へば忽に、身はさゝ蟹のいと凄き、一人六臂の其の姿、朧が中に立ち迷う、我が背子に来べき宵なりさゝがにの蜘蛛振舞兼て知る、我が身の上ぞやる瀬なや、葛城山に年を経し世にも名をしる女郎蜘蛛
『尽きぬ怨の心のさびや、怨念力の張弓に射て落されん連理の枝
『辛恚邪慳の斧鉞、打ち立て/\しつてい/\、伐木とう/\/\
『枝も梢も打ち切り/\
『打ち折り/\打ち払ひ
『魔道に沈んで浮む瀬もなき我が眷属、長きやつことせんものと、又引き立つれば恐ろしや
『渦巻く炎漲る白波、にはの梢もさつさ/\、池の水音どう/\/\、天地かへつて逆のぼり、高天砕けて落つるを見れば、めう火盛んに燃え上り、電光激してはたゝ神、すさましかりける次第なり

タグ

#蜘蛛

分類番号

00-2310000-k3m5n5h2-0001
データ入力日:2016/05/16

長唄 蜘蛛拍子舞 歌詞