題名

道中双六(どうちゅうすごろく)

本名題

恋文字道中双六(こいのもじどうちゅうすごろく)

詞章

『徳川文芸類聚』第10 俗曲下 『荻江節正本』

(目次の題名『恋文字道中双六(道中双六)』本文の題名『恋文字道中双六』)

〔歌〕「これ/\ごらんぜみさしやんせ是ぞ五十三次をゐながらみせたるだて風を。〔フシ〕いきな姿のしどけなく。〔ヒヤウシ〕ま一もんじに日本ばしより真直に京橋中橋おまんがべに
〔藤蔵〕「べに白粉も手に付ずしんきしんくの新橋に品川つくる水かゞみもみぢみよふなら海晏寺もくぎよのおとは
「なむあみとうふ/\〔合〕ひやうたんあれど酒はなし。酒やは有つても花はなし。何をくうやのかほのしははらもしは/\しの竹の杖が入そな夜明がた
〔藤〕「おちやまいれ
〔音八〕「茶の木のきよひよんでわれらがためにはしやかのでしげに品川の大仏ほとけももとは凡夫にておじやれ/\がひく三味線は〔相方〕
〔藤〕「ひくすがゝきはくりはを移す八文字
〔ナゲブシ〕「なれしくるわもはやむかし
〔藤〕「それ大名のお通りじや行れつそろへてどいやさかちわかたうやお六尺ふむ七くさは〔相方〕
〔藤〕「跡からしやぐ/\ぉつゞら馬小室ぶしをはり上て
〔コムロブシ〕「千雨取るとも馬かたいやよ
〔音〕「ほてつぱらめと鈴ふりかくる鈴の森ふりさけみれば六郷の渡しばにはや月の駒〔相方〕
〔藤〕「吾妻下りにあらね共その〔相方〕
〔藤〕「なり平さんの歌枕こまくら特たぬ草枕出馬のこへにおこされてみやる向ふはあはかづさ沖こぐろ拍子さつ/\さ〔相方〕
〔藤〕「駒もいさめばはいしいだう〔相方〕まづはや咲に梅のきや和中さんりは一ぷくのたぼこ呑むまに行過て火なはふる/\ふる川やくしもみへるぞへ
〔音〕「さつてもしやべるは品ものめかの川崎の名物の茶めしまれなる女まご定めて色が有るであろ
〔藤〕「わたしが思ふその人は
〔音〕「其色は
〔藤〕「さあ其色は
〔サハリ〕「わたしが胸の数々は。かなで〔アタルヲトシ〕いはれぬかな川のいそぐ程がやとつかはと足ももつるゝ藤沢の。〔合〕ひらつかのまも。わすられぬ。
〔藤〕「其恋人にをだ原と思ひこがるゝ胸の火にわきて流るゝ箱根のゆ
〔音〕「おゝそのゆめぐりのなぐさみに里の女がむぎつき時にうたふ小歌のこへさへて
〔麦ツキ歌〕「ゑんなきれると思ふな女子。水にうき草ねは。きれぬしよんがいな
「わしは此町の軒ばのすゞめきてはないたりなかせ。たりしよんがいな
「あすはお立かお名残おしや。せめて仙石やのまがり。までしよんがいな
〔膝〕「花の姿をみしまよりふかくはまりしぬまづのしゆくふじのけぶりの空にきへ行ゑもしらぬ恋人は
〔音〕「何とかゆゐのはまづたいうつの山べの十だんごおあしつく/\
〔藤〕「つく手まりこの
〔てまり歌〕「一つとやひとよ明ればにぎやかでにぎやかで飾り立たる松かざり/\
「二つとや二たばの松はいるよふで/\三がい松は〔藤〕どもへ/\
「三つとやみんなの子供衆はらく遊び/\あな一駒取はねをつく/\
「四つとや吉原女郎衆が手まりつくてまりつくてまりの歌こそ面白や/\
〔音〕「手まりつく右のかいなをうちかたぐ
〔藤〕「そりや何じやへ
〔音〕「岡べの宿や藤枝のそもじに命投島田かなやにごゆ赤坂
「〔相方〕
〔藤〕「とひましよ/\
〔音〕「聞ましよ/\
〔藤〕「女郎は
〔音〕「おじやれ
〔藤〕「ひきやくは
〔音〕「はやだち
〔藤〕「鳴見は
〔音〕「しぼり
〔音〕「問ましよ/\
〔藤〕「聞ましよ/\
〔音〕「鳥は
〔藤〕「ほうわう
〔音〕「花は
〔藤〕「みよしの
〔音〕「月は
〔藤〕「更科
〔音〕「薄は
〔藤〕「小ぐら野
〔音〕「ぼたもちは有まい/\
〔藤〕「問ましよ/\
〔音〕「聞ましよ聞ましよ
〔藤〕「みやは
〔音〕「大こん
〔藤〕「くは名は
〔音〕「はまぐりはまぐり/\しんき楼
〔藤〕「石やくし程かたふても〔ちやうし〕〔歌〕性のわるい男のくせに。水ロぐせの仇ぼれと思ひ大津の其人は
〔藤〕「京迄か
〔音〕「いやあはた口
〔藤〕「真先かけて殿様のおねがひ叶ひかつ色の花のお江戸のまん中に
〔音〕「こひめは市村さいさきよし
〔藤〕「くはほうはねてまつ
〔音〕「ゐながらあゆむひざくりげ〔相方〕
〔両人〕「はいしい道中すご六と口舌さわやかはなやかになぐさみありける景しきかな。

分類番号

00-2310000-d5a3t2y3-0001
データ入力日:2016/09/14

長唄 道中双六 歌詞