題名

鳥羽絵(とばえ)

変化物としての題

御名残押絵交張(おんなごりおしえのまぜはり)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第3編 清元集(明治42年)

(資料の題名『御名残押絵交張』)

(桜田治助述)

『しめたぞしめた、オツトどつこい逃してなろか〔合〕おのれ噛らば〔合〕三味線は噛らいで、戸棚飯つき挙句の果にや、可愛女房の鼻柱、それで憎さが枡落
『ハヽハツクサミとこ万歳、見おれお蔭で風邪ひいた〔合〕ほかにひく物は何であろ、ちりん/\〔合〕跛に〔合〕船〔合〕鉄棒〔合〕酒があとひく女郎がお茶ひく、夜鷹が眉ひく、畑ぢや大根うつい姉へ袖褄ひく手〔合〕数多であろぞいな
『はづみに南無三畜生め〔合〕摺小木とる間にちよいと逃た、めう/\/\/\/\/\、鼠に起て月見かな、アヽラ怪し〔合〕あやしゝの十六文で九官鳥は見たれども、摺小木に羽根が生えて、鳥羽絵はほんに我ながら、見るは始めておや/\/\〔合〕いでや捕えて友九にと、足をのばしつ手を上げつ、とらんとすれば鳥はついと飛んで逃た、あつたらものをと見送る後に逃たる鼠〔合〕ふりむく途端見付てうぬと駆寄るを、その儘膝に飛び付いて、何故そのやうに腹たてゝ〔合〕私を〔合〕なんとさしつけに〔合〕言ふも恥かしそもや又〔合〕藁紙屑の巣をはなれ〔合〕流の下や〔合〕膳棚で、徒戯習ふた時分から、ふつと心で思ひそめ、猫や鼬の目をしのび、どうぞ抱れて鼠とは、及ばぬ恋の身の願、知ぬお前の木枕を、せめて噛つて念晴し、それにきこえぬ胴欲と、山椒のやうな目に涙、泣てくひつきかこつにぞ
『エヽ畜生奴〔合〕
『可愛お方のお声はせいで、あがるお客の面憎や、悪洒落かねびらいき過た、蕎麦屋按摩の声ばかり、その外おでんに正月屋、わり竹鉄棒火の用心、夜あけ烏の四ツ手駕籠
『アヽカゴ
『アヽカゴ
『アヽアかけ声に旦那はなかで空寝入、おつこちた〔合〕それには困り入りやした〔合〕そこらでとつこい引て来る、頭の黒い溝鼠〔合〕枡で押さへりやチウ/\/\、チユ/\らのちゆいとはね返し、鳥羽絵のごむりは御もつとも、地口で逃るを追ふ鼠、あとを慕ふて

国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」

(目次の題名『御名残押絵交張(鳥羽絵)』本文の題名『御名残押絵交張〔九変化の内〕とばゑ』)

国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」

タグ

#変化物 #物尽くし(引く物) #鼠

分類番号

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データ入力日:2016/05/17

清元 鳥羽絵 歌詞