#author("2016-09-21T15:18:30+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase") #contents *題名 [#c42a8085] 犬神(いぬがみ) *本名題 [#y1577f7d] 恋罠奇掛合(こいのわなてくだのかけあい) *詞章 [#k7b992ff] **声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年) [#l178f1a2] (資料の題名『恋罠奇掛合』) 〔上るり〕『蠅営たる狗苟と、韓非に載せられし、巻尾けんてい自ら、此身にうけて浅ましや 〔歌〕『我も北斗を拝しては、心の儘に姿をも、うつすや池の水鏡、かつぐ玉藻に梳る、其通力も忽に 『蘭奢の香の馥郁と、薫に恐れ本性を 『見るにはこはさも忍はれず、野干の形あらはせし 『はかな己が有様や 『野末の草の葉がくれに、葛の恨みの恨めしく、親の讐をうつゝにも、夢にも忘れやるかたも、泣てあかしてくよ/\と、焦れて燃る狐火は 『ほむらと成て去りやらぬ、煩悩の犬に如何にせん、絆につなぎ纏はれて、伏て見寐て見執着の尚去りやらぬ思により 『我は化けたと俤を、慕ふにあまる口惜しさ、報はんものと立よれば 『毛衣さつと振乱し、眼鋭に息まきし寄らば喰はん勢に 『ぱつと飛び退き振返り、エヽ言ひ甲斐もなき、涙の雨のはら/\とはつと、日に添ひてかゝる憂き事なき身ぞならば、花を飾りて品繕ふて 『嫁入/\里の子に、囃たてられしつぽりと、露のかごとを草枕、独り葎の床の内 『寐むるとすれど犬墳の、ちやつと起立ち身をふる尾花 『此方は尾を巻き覗ひ寄る 『寄せじと哮れば 『飛退いて瞋恚の剣 『憤怒の牙 『研立て 『研立ていどみあふ親の別の其の場より、所定めずうろ/\と、恋し床しはさながらに 『人間よりも百倍の、思ひ重なる胸の内〔合〕 『仇も報も白真弓、犬追物や 『鼠罠かゝるも知らぬ輪回にひかれ 『ひかれ/\て 『爾は言へ親の恨のしもと、菊をつとつて打つてかゝれど 『寄せつけず、貞女を守る張然犬、揚清季信が犬とても、かくは非じと耳逆立吼れば 『叫んで駆向ひ 『追つ 『返しつその風情、去のふやれ我故郷へ戻ろやれ 『その名玉をと立かゝるを、頼賢やらしと引止むる 『千枝狐が帰り咲き、姿の花や六の花、木毎の花の顔見世は、目出度かりける次第なり *その他の情報 [#zfa191bf] 文化9年(1812)11月初演 二世桜田治助作詞 二世杵屋正次郎作曲 『雪吉野来人顔鏡』(ゆきもよしきごとのかおみせ)の大切 初演時は豊後路との掛合 *関連項目 [#ld1548d8] *タグ [#d74729a8] #狐 *分類番号 [#x1ee435e] 00-2310000-a2n3g1m2-0001 RIGHT:長唄 犬神 歌詞