#author("2016-10-21T11:35:36+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
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*題名 [#g39af0c4]
五人囃子(ごにんばやし)
*本名題 [#hd78164c]
内裡模様源氏紫(ごしょもようげんじのえどぞめ)
*詞章 [#y08d2a47]
**声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第4編 常磐津集(明治42年) [#ofc1b7ff]
(資料の題名『内裡模様源氏紫』)

(中村重助述)

『三千歳になるてふものよ、桃の節会の花見月、弥生の花のまた外に、綻びかゝる生娘と、よい道連の艶男
『お先揃へて花やかに、振り込め振り込む鳥毛槍、奴島田に引きかへて、おぼこ娘の振袖に、浮れてふいと乗物を、背負う重荷も恋の道、おれこやぢや合点ぢや、
『石ごき酒の色上戸、酔にやなるまい女子の身そら、茶びんの役とはオヤ馬鹿らしい取合せ、花の行列花道を、色香こぼして歩み来る
『やれ/\二人とも、太義な事であつたわいの、今日は弟の光氏が、此別荘にて雛祭を幸ひ、紫を呼び迎へての女夫事
『夫はいな、其のお目出たに此の御所へ、あなたもお出の様子を聞き
『私も態々おあと慕ふて来たのぢやわいな
『イヤもう思ひがけない二人の出合で、送りの者を手伝ふて貰ふたが、二人ともにわしがあとを、慕ふて来たといふは偽はり、大方光氏を見やうと思ふて、アノコヽな浮気者めが
『脊中打れて二人は莞爾
『否々ありやうは此の美しい大内を、うつす模様を拝まうと
『そんなら夫れ故二人とも
『あいな、さうして又光氏様を蛍ではあるまいし、何でマア光る君と言ふのぢやへ
『夫れ/\その謂れ言ふて聞かして下さんせいな
『成程そりや古への光る源氏に倣ふてつけた弟光氏、そのあらましを話さうか、ヱヘン/\
『そも/\五十四帖の巻の始めの桐壷と名づけしは、源氏の母君住ませ給ひし御所にして、その箒木より清らかに、光り輝く玉の御子、高麗国より渡りたる、博士相して此君を、光る源氏と言伝ふ
『何とこれで謂れが解つたで有らうが
『そりや解れども解らぬはあなたの心
『夫れ/\私が先へ心の丈を、モシ
『恋の手習いつ書初て、文してそして其の末の
『末摘花の返す書、愚痴な繰言あどなさに、喰裂紙の縁結び
『とけて逢ふ夜を神さんに、無理な願も恋の意地
『粋な
『浮世ぢや
『なア
『いイ
『かい
『なア
『エヽまんがちな何ぢやいナ
『つい紅筆で鼻紙へ、よふじをつけて送り船、浮かれ浮船佃沖、吹よ川風簾を揚て、新地の端の夕納涼
『それ夏痩と引寄せて、癪がほだしの仮枕、膝を枕の爪弾に
『淀の車は水故廻る、私や悋気で気が廻る、ほんに遣瀬がないぞへ
『番ひ離れぬアノ鴛鴦を、見るにつけても思ひ出す、早く女夫になるならば、それこそよい/\よいぞへ
『エヽおかしやんせ厚皮な、調子合せて男には、合せ鏡の芸者の身
『女庭訓今川に、それよもや書てはありやせまい、お師匠さんの教へにも
『ほんに女子は一生に、殿御といふは唯一人、眉毛落して紅鉄漿つけて、皆男故エヽヽヽ
『男へ皆心中立
『あく性な/\気が知れぬ
『都育ちは見目も姿もよい八重桜
『八重が笑へば一重も笑ふ、アレ鐘の音に
『宵の雨やれしほれしほ/\、一人戸口へとんと夜一夜
『立明す、恋ぢやへ恋は仕勝と照葉して、いつしか顔に紅葉の賀こなたも胸は篝火と、悋気の角の橋姫や、葵の上も今茲に、花を散らして争へり、義尚なほも押隔て
『是はしたり二人乍ら、訳もない事其の争ひ、中に立つた私も迷惑、然し差詰源氏の葵の上、後妻打をうつし絵は、ヲヽ幸ひ弥生の鶏合、さらりと海へ須磨明石
『それはいな、三人これから睦まし月
『こぼれた花を追羽子に
『時に取ての
『春遊び
『一イ二ウ三イ四ウ五も口説の無理酒に
『七ツ梅見の移り香とめて、憎い奴をば心に隠す
『こゝの辛さにまた嘘ばかり、問ふにや落いで
『語るに悟る、エヽあんまりなと
『ひぞり言
『梅と桜と柳の緑、賑ふ弥生の花舞台、花の色幕、曙色は江戸紫の艶源氏、僅かな筆に
『書とゞむ
*その他の情報 [#k258b4a5]
天保9年(1838)3月初演 四世中村重助作詞 五世岸沢式佐作曲
初演時は長唄との掛合、長唄は四世杵屋六三郎作曲
*関連項目 [#v553c3e4]
*タグ [#m1b5683c]
*分類番号 [#d7df3106]
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RIGHT:常磐津 五人囃子 歌詞