#author("2016-09-13T15:18:50+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
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*各編出版事項 [#u3322aad]
**声曲文芸叢書 第2編 長唄集 [#ye479c88]
 明治42年7月24日発行
 編集者 声曲文芸研究会、発行者 磯辺辰次郎、発行所 磯辺甲陽堂

**声曲文芸叢書 第3編 清元集 [#r9c7ecd0]
 明治42年9月20日発行
 編集者 声曲文芸研究会、発行者 磯辺辰次郎、発行所 磯辺甲陽堂

**声曲文芸叢書 第4編 常磐津集 [#o1ba8116]
 明治42年11月21日発行
 編集者 声曲文芸研究会、発行者 磯辺辰次郎、発行所 磯辺甲陽堂

*各編序文 [#p8a87f59]
**第2編 長唄集 [#wa3b9899]
長唄集 序

近世流行せし歌曲にして、今日全く廃れたる者あり、また今日まで持続せらるゝ者にて盛衰煩多なる者あり、独り長唄のみは、古来径路を一にして夥多の変遷を見ざるは、其因種々ありと雖も、其の主とする所は、語辞章句((「章」は掠れて読めないが「せうく」から判断))の高尚にして、些かの卑猥を見ざると、節曲の賎しからざるとに基因せずんば非ず、爾れば近来この声曲を学ばんと欲する者多きを加ふると共に、また其の文章を研究せんと欲する者続出するに至れり、是れ当然起るべき今日の趨勢にして、其の益々深からんことを希望するは我れ人ともに同一旨なり、されどもそを遂げんと欲するには、必ず完全なる斯書なかるべからず。本書は節曲を学ばんとする諸士、及び研究せんとする篤志家の為に、編纂せし者にして、両者の為に必ず鉅大なる裨益を与ふることを信じて疑はざるもの也。

編者識

**第3編 清元集 [#y81819ab]
清元集 序

艶麗にして爾も優美なる節曲を有する清元は、その章句に於ても亦華美陽韻なり。これ上下相通じて愛翫する所以にして、初代延寿以来数代茲に年を経るも、世の鍾愛渝らざるは、前記二因に由らずんばあらず。然れども従来は其の節曲に重く、章句に甚だ軽い嫌なくんばあらず近来に至りて稍々章句の他に卓抜して、其の陽麗濃艶なるを深く愛し、そを研究せんと欲する者を見るに至れり是れ世の進歩に伴ふ必須の約束にして寧ろ其の遅かりしを思はしめたるなり。本会は数年前より其の至るべき趨勢あるをみて、深く研究し茲に本書を上梓するの運びに至れり、世の節曲を愛する人と、章句を愛する人とを問はず、本書一本を座右に置かれよ、必ず益する所多からん歟。
 己酉九月

**第4編 常磐津集 [#d336628c]
常磐津集 序

艶麗にして而も乱れず、高尚にして爾も偏せざる常磐津は、古く上下の家庭に洽く用ゐられ、殊に明治に至りて其汎盛を極む、之れ一は時世の然らしむる所なるも、また一は彼の名人林中が、斯界の為に尽砕し、其妙技を振ひ、其発達を奨励せしに因らずんばあらず、若し夫れ林中の妙技に至りては、空前の名優市川団州をして、往々従来の因襲を破り常磐津に改竄して演ぜざるべからざるに立到らしめたるが如き、また都鄙共に渠の妙技を欣慕したるが如き、其如何に他を卓抜する所ありしか、また其節曲の如何に優美なりしかは、智者を俟つて後知るべきことには非ざるべし。渠林中逝いて一度進運を障碍したるも、渠が生前の妙技は遂に幾多同好の士の脳裏の印象を没却する能はず、されば隔年ならずして捲土重来の勢を以て進み来り、同時に文章の趣味を咀嚼する者あるに至れり、是斯界に執りて否文芸上に執りて十代なる出来事に属す。
本会は此期に際して本書を刊行し、以て文芸界に裨益する所あらしめんと欲する也。
 己酉 霜月 編者識

*『声曲文芸叢書』の入力に当たって [#r57cd49b]
**元の体裁 [#j8d8f337]
 『声曲文芸叢書』は、以下の様な体裁で書かれています。(元は縦書きで、漢字には振り仮名が振られています)
>&size(10){シテ};&size(14){『夫れ青陽の春になれば};&size(10){合};&size(14){『四季の節會の事始…};
>
>&size(10){シテ};&size(14){『兎も角も計らひ候へ『龜は萬年の齡を經、鶴も千代をや重ぬらん};&size(10){二上り};&size(14){『千代の例の數々に…};
**字体と仮名遣い [#cc1bc64b]
 字体を旧字体から新字体に改めました(一部使い分けのある「影」「蔭」「陰」等は例外)。
 仮名遣いは旧仮名遣いのまま入力しました。
 振り仮名は非常に重要な要素ではありますが、入力が追い付いておりません。。

**括弧、用語の扱い [#ec71550b]
 山括弧の代わりに二重鉤括弧が使われているので、二重鉤括弧のまま入力します。
 また、二重鉤括弧の位置で改行をします。

 節付、割注などがある場合は亀甲括弧に入れて『〔合方〕』の様に入力します。
 鉤括弧の前に節付、割注、台詞を言う役名などがある場合は、亀甲括弧に節付、割注などを入れて、鉤括弧を続けて『〔二上り〕『○○…』の様に入力します。

**入力時の体裁 [#n90c85d3]
 以上のことを踏まえて、先に例示した原稿を入力すると
>〔シテ〕『夫れ青陽の春になれば〔合〕
>『四季の節会の事始…
>
>〔シテ〕『兎も角も計らひ候へ
>『亀は万年の齢を経、鶴も千代をや重ぬらん
>〔二上り〕『千代の例の数々に
 となります。

 また踊り字に関して一の字点は平仮名では「ゝ」「ゞ」に、片仮名では「ヽ」「ヾ」に置き換え、くの字点は「/\」「/゛\」とし、同の字点は「々」を使用しています。


**その他 [#j8ebde86]
 誤字脱字に関して、明らかな誤りである場合は訂正の上注釈を付けています。
 掠れた文字、判読が難しい文字に関しては、別の資料にあたって補っています。