#author("2016-10-21T11:12:20+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
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*題名 [#qc6af2a5]
廓花対編笠(さとのはなついのあみがさ)
*詞章 [#kcb807f4]
**国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#kee3911d]
(作者 三枡屋二三治)

「世の中は〔合〕うき事ばかりはしたなき〔合〕事のみまさるならひとて名に橘の二人づれ〔長地〕女之助か忍び路も姫が思ひはなか/\に〔合〕
〔羽左衛門/栄三郎出〕「心せかれて〔長地〕身ははれやらぬやみの夜も〔合〕よし原近き土手の霜〔合〕
「ふみもならはぬ。道芝は手にとりこゑを。よそに見て〔合〕
〔カン〕「見かへり柳。風さそふ。誰がおもはくも。しらあやの〔合〕
「下着にものを思へとて
「うつり香さめぬ肌とはだ〔合〕
「人目思はで遊行に〔合〕旅人の井の名どころも聞てうれしき鶯のまつにゑにしの妹背事初心らしくも来りける
〔粂三郎〕「申し女之助さま自らゆゑにあなたのうき難儀館は出は出たれど爰はマアなんといふ所でござんす
〔羽左衛門〕「ほんにうか/\来ごとは来たがこゝは名にしおふ吉原の大門口此程きびしき宝の詮議むらすゞめの御判紛失も此身の落度となりし故姫を件ひ宝の行衛尋ねんためそなたはこれより館へ帰り父御へ此事つたへてたも
〔粂〕「イエ/\みづからはあなたと共にたとへいづくの果なりとお供申して宝の詮議を
〔羽〕「なんの女子のいらぬ事こゝから先へかへりや/\
「人やとがめん口のはに。〔長地〕かゝるつらさもおちどゆゑ家の宝も手にいれば〔合〕水ももらさぬ筒井筒家をも立てたき身の願ひ〔合〕
「姫にはなんといはばしの渡る思ひを打つけに言はぬ心は恋のふち〔合〕
「それとさとりて悋気坊そりやマア何の事じやら
「今さらそんな謎かけて一人こゝから帰れとは〔長地〕あの清元の浄瑠璃かなんぞのやうにいふたとて
「ほんに思へば此春の隅田のさくらの花見時〔合〕物見の幕が仲人して
〔カン〕「互に人目つゝましく忍ぶ其目のうれしさか
「わたしに船のかぢ枕ぬれて寝よとのはんじものかたい此手がすてられぬいたづら者じや〔二ノナガシ〕ないかいな〔合〕
「其お心にほだされてはなれがたなき風情なり
「風にきこゆる一ふしもどこかゆかしきよそのりやう〔合〕
「しゆすの袴のひだとるよりも〔合〕君の心がとりにくい。さりとは/\
「しづが伏屋で糸とるよりも主の心がとりにくい。さりとは/\実に誠と思はんせさてもにぎはし面白や〔合〕
「土手を通るは〔合〕たしかあいつにやあるまいか。いや/\違ふたしぶ蛇の目〔合〕相合傘の。しつぽりとアレ春雨が降るはいな〔合〕ふらくるさりとは気短かなちよつ/\と咄して行しやんせ。さりとは気短じかな〔長地〕その古事のたはれうたこれもあたらしかしのうへ
〔二上り〕「ぬれてぬる夜のつゆしぐれ〔合〕おもや恋路はぬれによる〔合〕よいこの/\縁結びのかぬゑにしの縁じやもの
〔ナヲル〕「宝出でなば元の身と女之助は姫諸共いざと手に手を上手づたひたどり/\て急ぎ行く。
*その他の情報 [#m079bddb]
天保2年(1831)11月
*関連項目 [#wbea5f08]
*タグ [#r0296b09]
*分類番号 [#v8cd6b9e]
00-1331211-s1t5n5h1-0001
RIGHT:清元 廓花対編笠 歌詞