#author("2016-10-21T11:03:01+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
#contents
*題名 [#j46d53da]
明烏(下)(あけがらす(げ))
*本名題 [#w67a09c3]
明烏花濡衣(下)(あけがらすはなのぬれぎぬ(げ))
*詞章 [#gc6d624d]
**声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第3編 清元集(明治42年) [#idb6f74e]
(資料の題名『明烏花濡衣』)
(資料目次に括弧書きで「浦里時次郎」とある)

『折節降り来る雪吹雪、うちには亭主が浦里を、庭の古木に括りつけ、箒おつとり声張上げ
『ヤイ浦里、其の苦しみは心がらだア、総別遊女を折檻して、客を堰くこと客のため、二つには女郎大切身代が猶大事、アノ客もまだ若い人だが、あんまり繁々通はれては、親懸りならば勘当うけ、主持ならば親方の手前、仕損ふは知れた事だ、此のじう年期を切替しも皆あの客のため、此の上は心中するか駆落か、とゞのくゝりは知てある詮索だア、是迄度々言ふても聞入ねへ業欲張奴、アノ時次郎の事をすつぱりと、思ひ切つてしまやアがれ、コレ男共浦里に気をつけい
『と言ひ捨てゝこそ奥に入る
『浦里あとを打ながめ、わかれとなれば今更に、涙にくれて居たりしが
『アノ時さんは何処にどうして居さんす事ぢややら、ま一度顔が見たい逢ひたいわいなア
『昨日の花は今日の夢〔合〕今は我が身につまされて、義理といふ字は是非もなや
『アノ二階で弾く三味線を、聞くにつけても思ひ出す、日外主が居続に、寝衣の儘に引よせて、弾く三味線の面白さ、それに引換え今宵の苦しみ、アヽ味気ない浮世ぢやなア
『好いた男にわしや命でも〔合〕なんの惜しかろぞ露の身の、消えば恨もなきものを
『わしが此の身はどうなるとも
『仮令この身は淡雪と、倶に消ゆるも厭はぬが〔合〕此の世の名残に今一度、逢ひたい見たいとしやくりあげ〔合〕
『狂気の如く心も乱れ、涙の雨に雪とけて、前後正体なかりけり
『男はかねて用意の一ト腰、口に咬へて身を堅め、忍び/\て屋根伝い、見るに浦里嬉しやと、悲しさこはさあぶなさに、可愛と一ト声明がらす、後の浮名や残るらん/\
**国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#fb389c6a]
(目次の題名『明烏花濡衣(明烏)』本文の題名『下の巻』)

「折節ふり家る雪ふゞきうちには亭主が浦里を庭の古木にくゝりつけ箒おつとり声あゝらげ
〔友右衛門〕「ヤイ浦里そのくるしみは心からだアそうべつ遊女を折檻して客をせく事客の為二つには女郎大切身代が猶大事アヽ客もよだ若い人だがあんまり繁々と通はれては親がかりならば勘当うけ主持ならば親方の手前しそこのふは知れた事だ此中年期をりかへしも皆あの客のため此上は心中するかかけ落かとゞのくゝりは知れてあるせんさくだア是迄度々言つても聞入れねへがうつくばりめアノ時次郎の事をすつぱりと思切つてしまやアがれコレ男ども浦里を気をつけい
「と言捨てこそ奥に入る
「浦里あとをうちながめわかれとなれば今更に泪にくれて居たりしが
〔しうか〕「アノ時さんはどこにどふして居さんす事じややらまいちど顔が見付い逢ひ度いわいナア
「きのふのはなはけふの夢〔合〕今は我身につまされて義理といふ字は是非もなや
〔しうか〕「アノ二階でひく三味線をきくにつけても思ひ出すいつぞや主が居つゞけに寝まきの侭に引よせてひく三味線の面白さそれにひきかへ今宵の苦しみアヽあじきないうき世じやなア
「すいた男にわしや命でも〔合〕なんのおしかろぞつゆの身の消へばうらみも〔ギン〕なきものを
〔しうか〕「わしが此身はどふなるとも
「たとへ此身はあは雪と共にきゆるもいとはぬが〔合〕此世の名残に今一度逢ひたい見たいとしやくりあげ〔合〕
「狂気の如く心もみだれ泪の雨に雪とけて前後正体なかりけり
「男はかねて用意の一腰口にくはへて身をかため忍び/\て屋根づたひ見るに。浦里うれしやとかなしさこわさあぶなさにかはいと一声明がらすのちの浮名や残るらん/\。
*その他の情報 [#pd2dcb37]
嘉永4年(1851)2月初演 三世桜田治助作詞 清元太兵衛作曲
*関連項目 [#l13e0de6]
[[明烏花濡衣(上)(清元)]]
*タグ [#a3cc81e6]
*分類番号 [#e1f5e8e8]
00-1331211-a1k4g1r1-0002
RIGHT:清元 明烏(下) 歌詞