#author("2016-10-21T11:11:09+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
#contents
*題名 [#x1a04278]
神田祭(かんだまつり)
*本名題 [#t633b03d]
〆能色相図,締能色相図(しめろやれいろのかけごえ)
*詞章 [#cb1c8e99]
**声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第3編 清元集(明治42年) [#db8dbb1e]
(資料の題名『〆能色相図』)

(三升屋二三治述)

『秦の始皇の阿房宮、その全盛にあらねども、粹な心の三浦屋の〔合〕ちやは上総屋両助と、気転も菊の籬さへ、山谷風流あらましを、松の位の品定め
『君が由縁と思へばよしや、扇を顔にはな平太、ちよつと格子へ呼子鳥、人目思はで通路の、思ひ競べん恋の山〔合〕不二と筑波をなか/\に、よう似た/\心も姿も、勝り劣らぬ花紅葉、中に柳のどちらへ靡く、風次第とは浮気らし、丸にいの字を命とかけて、重ね扇に三升とは、模様も同じ益荒夫の、色の手管もやさしけれ
『ほんに私も籠の鳥、苦界のうちは初会から、嘘も口舌もいふたとて、それ見やしやんせ世の中は、籬に菊の乱れ咲、嬉しがらせて憎らしい、千に一つも誠なら、勿体ないではないかいな、見返り柳合の手に
〔二上り〕『月をたよりに夜の雁、ふたつみつよつ並んで通ふ〔合〕道を照して忍ぶとは、あんまり粹な山の端に〔合〕せできて濡るゝか〔合〕しよんがいなしどもなや
『うねめのきぬに有ねども、二人はやらじと慕ひゆく〔合〕
『ひとゝせを、今日ぞ祭に当り年、警護手古舞華やかに、飾る桟敷の毛氈*1も、色に出にけり酒機嫌、神田囃子もきほひよく〔合〕
『来て見よかし〔合〕花の江戸〔合〕祭に対の華麗模様、牡丹〔合〕鐶菊裏菊の、由縁も丁度〔合〕花尽し〔合〕
『祭のなア、華麗な若衆が、勇みに勇み、身姿を揃へて、やれ囃せそれ囃せ、花華車手古舞警護に行列、よんやさ、男達ぢやのやれこれさ、達引ぢやのと、言ふて私に〔合〕困らせる
『色の欲ならこつちでも
『常から主の仇な気を〔合〕知つて居ながら女房に、成つて見たいの欲が出て〔合〕神や仏を頼まずに、義理も糸瓜の革羽織、親分さんの御世話にて〔合〕わたりも付けてこれからは、世間かまはず人さんの、前憚らず女夫ぞと〔合〕楽しむうちに又外へ、それから闇と口癖に
『森の子鴉われはまた、尾羽をからすの羽根さへも、なぞと彼奴か得手物の、茲が木遣の家の株
『ヤアやんれ曳け/\よい声かけて、ゑんやらさ、やつと漕ぎ出す屋根船見れば、憎や簾が〔合〕顔かくす、何でもこつちを向しやんせ、よい/\よんやな、よい中同士のこいさかひなら、痴話と口舌は何でもかんでもこんやもせい〔合〕東雲の明の鐘、ごんと鳴るので中直りすんましたよい/\よんやな〔合〕そふよが締めかけ中綱
『ゑんや/\これはあれはさのへ、ゑんやらよう
『実にも上なき獅子王の、万歳千秋限りなく、牡丹は家のものにして、御江戸の恵ぞありがたき/\

*1 底本「氈」は「毛+亶」と偏と旁が逆になっている。 [#k72f9a2a]
**国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#x0ffa975]
(目次・本文の題名『締能色相図(神田祭)』)

(作者 三枡屋二三治)

「秦の始皇の阿房宮その全盛にあらねどもすいな心も三浦尾の〔合〕茶屋は上総屋両助ときてんも菊のまがきさへさんやふうりうあらましを松の位の品定め
「きみが由縁と思へばよしや扇をかほにはな平太ちよつと格子へ呼干鳥人目思はでかよひぢの思ひくらべんこひの山〔合〕富士と筑波を中々によふにた/\心もなりもまさり劣らぬ花紅葉中に柳のどちらへなびく風次第とはうはきらし丸にいの字をいのちとかけて重扇に三枡とは模様も同じますらをのいろのてくだもやさしけれ
「ほんにわたしも籠の鳥くがいの内は初会からうそも口舌もいふたとてそれ見やしやんせ世の中はまがきに菊の乱れ咲うれしがらせてにくらしい千に一つも誠なら勿体ないではないかいな見返り柳あひの手に
〔二上り〕「月をたよりによるの雁〔合〕ふたつみつ四つならんで通ふ〔合〕道をてらして忍ぶとはあんまりすいな山のはに〔合〕せで来てぬるゝ〔合〕しよんがいなしどもなや
〔ナヲル〕「うねめのきぬにあらねども二人はやらじとしたひ行く
「ひとゝせを今日ぞ祭りにあたりどし芸子手古舞はなやかにかざる座敷の毛氈もいろに出にけり酒機嫌神田ばやしもきをひよく
「来ても見よかし花の江戸〔合〕まつりについてのはで模様牡丹寒菊うらぎくのゆかりもてうどはなくづし〔合〕
「まつりのなアはでな若いしゆが勇みにいさみ身なりを揃へてやれはやせそれはやせ花だし手古舞芸子に行列よんやさ男伊達じやのやれこれさたてひきじやのといふちやわたしにこまらせる
「色のよくならこつちでも
「常から主のあだな気を〔合〕知つてゐながら女房に成て見たいの欲が出て〔合〕神や仏をたのまずに義理もへちまの皮ばかり親分さんのお世話にてわたりもつけてこれからは世間かまはず人さんの前憚らず引よせてたのしむうちに又外へそれからやみと口くせに
「森の小がらすわれはまた尾羽をからすの羽さへもなぞとあいつがゑてものゝこゝが木やりの家の株
「ヤアやんれひけ/\よい声かけてゑんやらさやつと抱締床の内から小よぎふトんをなぐりかけなんでもこつちを向かしやんせよい/\よんやナ〔合〕よいなかどしのこいさかいならちわと口舌はなんでもかんでもこんやもせい東雲の明のかねごんとなるので中なをりすんましたよい/\よんやな〔合〕そふよが締かけ中綱
「ゑんや/\これはあれはさのヘエンヤリヨウ
「げにもうへなき獅子王の萬歳千秋かぎりなく牡丹に家のものにしてお江戸のめぐみぞ有難き/\。
*その他の情報 [#we274064]
天保10年(1839)9月 三升屋二三治作詞 初世清元斎兵衛作曲
*関連項目 [#tdda7858]
*タグ [#xd5e4562]
#祭礼物
*分類番号 [#q7989432]
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*音源(宣伝枠) [#i82d7324]
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RIGHT:清元 神田祭 歌詞