#author("2016-10-21T11:09:03+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase") #author("2016-10-21T11:09:29+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase") #contents *題名 [#yc4e176c] *題名 [#xfc3d03a] 誓(衣+衣)想稚恋(かけじやそでゆめぢのはつごい) *別題 [#t2d04d5a] *別題 [#oec1faf6] 松若,誓(衣+衣)想初夢(まつわか、かけじやそでゆめぢのはつごい) *詞章 [#k1a40532] **国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#kaa3b0b6] *詞章 [#p92aa6c4] **国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#ad40bab6] (作者 藤本吉兵衛) 「影やどる月の鏡の俤を彩る萩のいとにしき逢瀬のながれ近き江に 〔團十郎出〕「露の玉散る川霧や穂にあらはるゝ初尾花分ゆく野路に藤袴 〔團〕「あすもまた野路の玉川萩こへて色なる浪に月やどりけるその近江路の玉川は鄙びし里と聞たるが此白萩の盛りといひ風雅の四阿月のやどりに螢の風情ハテにくからぬ眺望じやナア 「色ゆゑにこそこがすなる螢をいかに秋津虫翼かはしてうらやまし 「恋が菩提と墨染し 〔粂三郎出〕「妙法蓮華経世音菩薩普門品第二十五 「庵の扉ぼそに法の声 「袖にしぐれと夕月もいつか迷ひの雲がくれ 〔團〕「これはしたり秋雨がこぼれて来たはへ 「蓑のむしんの諺を思ひぞ井手に同じ名の 〔團〕「此野路の玉川に珍らしい風雅の庵あるじは尻ごぜアヽきこへた月のあかりか螢の光りで経文をよまるゝか扨々殊勝 「と立よれば 〔粂〕「これ申しおしやまなされて下ひれ升るな 〔團〕「染衣の身にはきついけんどんことに雨がぼろついて参つたれば暫くの間雨やどりを 〔粂〕「アレまたやつぱりさまたげを両儀是意世尊観世音ばさつ 〔團〕「これさお経読誦のじやまは致さぬがシテこなさまは 〔粂〕「今日剃髪いたしました清玄尼と申します者でござりまする 〔團〕「その清玄尼どのならば俗の名は花子の前それがしはこなたの言なづけの吉田の松若じやわいのふ 〔粂〕「エヽ 「ときめく胸の仇なみを 〔粂〕「なにをマアその松若様はお行衛知れずおはてなされてそれ故に此剃髪 〔團〕「ハテ疑ひ深い此松若が死んだとは 〔粂〕「人をまどはす障化のわざエヽけがらはしい 「御法の風に吹仏ふ 〔粂〕「雲も晴れたる真如の月南無大慈大悲の観世音ぼさつ 〔團〕「さてもつれない三衣に似合ぬ 「うなづく露の地楡しめてふす猪の床草は 〔團〕「このさかりなる萩をながめて妹背はなでも見てちと気ばらしを致すがよい 〔粂〕「なにあきつむしを虫かごヘアア殺生な五逆消滅即身成仏 〔團〕「この松若と言ひなづけでありながらひとり即身成仏して某を無間地獄へおとすのか 〔粂〕「エヽ 「むさしの野辺に逃水やにげかくれてもあだし身は 「はらふ袂に蓮華葉に置く露のばら/\と 〔團〕「それお経が破れるどうぞ成仏させて下されいのふ 「いへど答も山吹の 「身のなる果は夢の世に結びし夫におくれ髪憂に此世をすて小船 「おりも千種の庭づたひ 〔竹三郎出〕「竹の小笠でしよぼふる雨に河太郎冠者あるかやいヲツトこつちは師の坊の仰で罷り腰衣豆腐取て来て酒屋へ走りちんがちろりに筒茶碗 〔團〕「ハヽアしよぼ/\雨で竹の子笠で雨の夜豆腐小憎きこへた狸の化者じやナ 〔竹三郎〕「ヲツトそんなものではない愚僧じや/\桜ん坊じや和尚様の仰には 「雨もふるからこつそりと肴を雲雷くうせいでん稲妻さだめとり持ち酒にいはせのぐいぎまり 「酔ふたら念彼観音力解たら抱て涅槃経しやかむりやりに引しめて帯をとく大勢至とはそこらがいろの智恵文殊さつさとやんねへやらしやんせ 「なぞとこぢつけ一散に厨をさして走り行く 〔團〕「そんなら狸の化物ではなふて御酒一ちろりさて/\すいな阿閣梨さまじやナア 〔粂〕「所欲害身者念彼観音力 〔團〕「これはしたり煩悩かへつてそく菩提なさけに二つはないわいのふ 「寄添ひながら引よせて見ればかけたる姿画の 〔粂〕「松若様によふ似たお方 〔團〕「ハテ言ひなづけの松若じやもの 〔粂〕「いもとがむこの頼国さまとどちらがどうやら 「ひかるゝきづないつしかに顔もてりはの色さそふ 〔團〕「スリヤ染衣の身にてけがらはしいといはれたが俄に心いかはつたは 〔粂〕「松若様のお姿画に生うつしのあたゝじやもの 「ハテ其筈誠の吉田の松若丸そのうたがひをはらすには 「夜のにしきの富田裂*1そのたらちねがいもせの縁をさだんのしるしにと 「夜のにしきの富田裂((「裂」は「列」の下に「巾」。))そのたらちねがいもせの縁をさだんのしるしにと 〔團〕「その松若じやによつて盃事しよふではないかいのふ 〔粂〕「とはいヘ一旦仏に仕へし身を以て 〔團〕「ハテ仏も元は凡夫身 〔粂〕「それじやといふて 〔團〕「モウ打とけたがよいはいのふ 「含むや露のこぼれ萩桂の月の眉ずみも見かはす顔に後の世も何のいとはふ身にしみ/゛\と 「おしへの書も今は只ならぶ枕と三重の帯 「恋染衣うちとけてしめた手爾葉を仮枕なびくゑにしのいとすすき結ぶや夢の仇名草 「あしたの雨のしつぽりと濡てゆるしの色まさる 「させもが露の伊予簾無量の契こもるらん。 *1 「裂」は「列」の下に「巾」。 [#jf2a8224] *その他の情報 [#e5621fa2] *その他の情報 [#x8926a2e] 弘化4年(1847)2月 *関連項目 [#p1223733] *タグ [#b7fab804] *分類番号 [#g3c52473] *関連項目 [#rd9bfb83] *タグ [#b203065e] *分類番号 [#q2cb1254] 00-1331211-k1k4z2y1-0001 RIGHT:清元 誓(衣+衣)想稚恋 歌詞