#author("2016-10-21T11:28:21+09:00","default:Tomoyuki Arase","Tomoyuki Arase")
#contents
*題名 [#a674cb87]
道行旅路の嫁入(みちゆきたびじのよめいり)
*別題 [#bac41a98]
おかげ参り(おかげまいり)
*詞章 [#pe40b7f9]
**国書刊行会『徳川文芸類聚』 俗曲上 第九 「柏葉集」 [#t844ea7c]
(作者 三枡屋二三治)

「誰がいふたことのはぐさもあすか川〔合〕ふちも知行も瀬とかはる浮世の中のならひとて結ぶ塩谷の縁あらばしとふてのぼる加古川の娘小浪が物思ひ母の思ひは山科へ聟の力弥を力にて押て嫁入の乗物もやめて親子のふたりづれ
〔紋三郎/紫小松出〕「遠目に富士の景色さへ今を始めの道中は双六の外しら雲の
〔カン〕「心はさきへ都へと急ぐかちじのあしもとは気も浮島が原三保が崎
「つゞく並松かいどうをせましとうつたる行列は
〔二上り〕「どの国づかさか知らねどもアゝいらやまし世がよであらふ物ならば一度のはれと花かざるだてをするがじさしかゝり
「つまづく石場大石や小石拾ふて我つまとなでつさすりつ手に取つてやがて殿御と添ねして二人が中にやゝうんで
「ねん/\ねんねこせねんねがもりはどこへいた〔合〕山を越えてさとへいた
「まだ宿次もはるかなる山科さしてぞたどり行く
「短夜によがな興津のおかづけはそぐはぬなりの魚荷もち
〔粂三耶出〕「女子だてらに諸わけさへ言ひわけいはつあやまらぬ向ふ鉢巻なんのその
「あいがなアとふけりやなア〔合〕エヽ立場がながいつぎ場/\で〔合〕さけ/\とエヽそのきさんじも天井ぬけ女の名さへかることはなぜ深川でつけたやらそんなむだ口沖の石
「かはい男のしごとのかはり
「といやの什切そろばんの玉は御存じ大和屋の家名もついのすげがさに
〔簑助出〕「伊勢参宮の目印は今度この度阿波の国まめおはらいの御託せんてんとおてんと天からふつた天人か〔合〕三保のあたりであらふかと〔合〕きいてあとから御ひいきうけておかげ参りはみなさまへお礼にちよつとたびがけのつれになるみのそめゆかた〔合〕
〔二上り〕「いろけないとて苦にやせまいものサツサかくしてかねつけたコノしよんでこへ〔合〕
「かね付てかさのサツサしめをでかくすしよんでこへ
〔ナヲル〕「浮立つ心のおもしろざけや〔合〕こゝも所の名物になだいの二人打つれて中よくこそは来りける
〔みの助〕「コウ姉さん見りやおめへは女の身としてこりやどふいふわけだへ
〔粂〕「サアわたしや女子のかるこでござんすはいな
〔みの助〕「ハアヽ女のかることいやアノ江戸の深川やおか場所でいふ女の名そんなら女の魚荷のかるこかへ
〔粂〕「アイそふでござんすアノ私よりはお前さんはへ
「わしや今度伊勢のおかげ参りに出かけた旅人さコウ姉さんなんとおめへは道づれになる気はねへかへ
〔粂〕「そんなてんがふおかしやんせいな
「おどけまじりにいはしやんしてもこちはごていのあじ知らぬ得ては旅人がてんごふに手を出したらばこちらからぐつとかゝへておし出して前からかゝりやはねを取りよつにわたらば腹やぐら
「モシうしろから抱きつけばおひなげしよいなげかいなぞり〔合〕あしのいたづら〔合〕つまがへし
「なげの情は露程もしらのきおいの娘肌こつちはちよつと仇口に
「いきで小いさみでめかさずすまさず物数いはずこふとふで〔合〕そこに情のある男かはゆふなふて何とせう
「まはらぬ舌でしよくだいやどんぶり火ばしで南無三宝
「そふに忽ち泣上戸
「此どんぶりのわれたのを見るにつけても娘がこと〔合〕今年十二ではしかもかろく〔合〕はやり風さへハツクシヨ引もせずツイ十三で此やうにと〔合〕しやくり上たる溜涙〔合〕
「そばにはむつと
「エヽナヽヽ何のこつたへ此どんぶりがわれたといつて〔合〕おむすの事で泣くならば水がめがわれたならば〔合〕さまの事でなく気かよ〔合〕
「エヽイあた〔合〕外聞のと〔合〕腹立上戸
「笑ひ上戸は吹出し
「フウフヽ
「フウフヽこいつはいゝぜいゝぜハヽヽヽ腹を立つたり泣いたりしてどふもこふもいへねへ/\とハヽハヽハヽ ヽ ヽ ヽ何でも物のふへるのは〔合〕目出度い事ではごんせぬか〔合〕
「それに涙をこぼしたり〔合〕すじを出したり
「ハヽおいたゝ
「ハヽおいたゝ
「ハヽハヽハヽヽヽハヽヽヽヽおいたたゝゝゝ〔合〕わけ生酔の〔合〕しどもなくさはぎ一座の浮立ちて
〔二上り〕「さまによエイコノさまにやろとて手おりの木絹を新田緋屋へあつらへた〔合〕なじよ/\/\なじよそめるゑ〔合〕
「桐に鳳凰〔合〕竹に虎〔合〕いつもはなれぬ〔合〕はんじ物へ〔合〕
「そりやまたいしこい注文だついでに摺こぎ摺こばちこれも放れぬ染模様おもしろや
〔粂〕「モシあの音は何でござんすへ
〔みの〕「ありや三島の明神様の神楽よ
〔粂〕「わたしやびつくりしたはいな
〔みの〕「サア行やせう
「こゝに三島の神垣や幸ひありや道づれと足を早めて急ぎ行く。

*その他の情報 [#p8d6d65b]
天保4年(1833)3月初演 三升屋二三治作詞 初世清元斎兵衛作曲
『仮名手本忠臣蔵』の一幕
*関連項目 [#m4a5f1fd]
*タグ [#fad53144]
#忠臣蔵(八段目)
*分類番号 [#k24f00a2]
00-1331211-m2t2y3k2-0001
RIGHT:清元 道行旅路の嫁入 歌詞