題名

犬神(いぬがみ)

本名題

恋罠奇掛合(こいのわなてくだのかけあい)

詞章

声曲文芸研究会『声曲文芸叢書』第2編 長唄集(明治42年)

(資料の題名『恋罠奇掛合』)

〔上るり〕『蠅営たる狗苟と、韓非に載せられし、巻尾けんてい自ら、此身にうけて浅ましや
〔歌〕『我も北斗を拝しては、心の儘に姿をも、うつすや池の水鏡、かつぐ玉藻に梳る、其通力も忽に
『蘭奢の香の馥郁と、薫に恐れ本性を
『見るにはこはさも忍はれず、野干の形あらはせし
『はかな己が有様や
『野末の草の葉がくれに、葛の恨みの恨めしく、親の讐をうつゝにも、夢にも忘れやるかたも、泣てあかしてくよ/\と、焦れて燃る狐火は
『ほむらと成て去りやらぬ、煩悩の犬に如何にせん、絆につなぎ纏はれて、伏て見寐て見執着の尚去りやらぬ思により
『我は化けたと俤を、慕ふにあまる口惜しさ、報はんものと立よれば
『毛衣さつと振乱し、眼鋭に息まきし寄らば喰はん勢に
『ぱつと飛び退き振返り、エヽ言ひ甲斐もなき、涙の雨のはら/\とはつと、日に添ひてかゝる憂き事なき身ぞならば、花を飾りて品繕ふて
『嫁入/\里の子に、囃たてられしつぽりと、露のかごとを草枕、独り葎の床の内
『寐むるとすれど犬墳の、ちやつと起立ち身をふる尾花
『此方は尾を巻き覗ひ寄る
『寄せじと哮れば
『飛退いて瞋恚の剣
『憤怒の牙
『研立て
『研立ていどみあふ親の別の其の場より、所定めずうろ/\と、恋し床しはさながらに
『人間よりも百倍の、思ひ重なる胸の内〔合〕
『仇も報も白真弓、犬追物や
『鼠罠かゝるも知らぬ輪回にひかれ
『ひかれ/\て
『爾は言へ親の恨のしもと、菊をつとつて打つてかゝれど
『寄せつけず、貞女を守る張然犬、揚清季信が犬とても、かくは非じと耳逆立吼れば
『叫んで駆向ひ
『追つ
『返しつその風情、去のふやれ我故郷へ戻ろやれ
『その名玉をと立かゝるを、頼賢やらしと引止むる
『千枝狐が帰り咲き、姿の花や六の花、木毎の花の顔見世は、目出度かりける次第なり

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分類番号

00-2310000-a2n3g1m2-0001
データ入力日:2016/05/16

長唄 犬神 歌詞